ペットと暮らせる特養から 若山三千彦
医療・健康・介護のコラム
[看取り犬・文福](4)余命わずかな元漁師、思い出の港へ 外出決行の決め手は人じゃなく…
外出3日後、文福が看取りを始める
外出をした3日後、とうとう文福が鈴木さんのお部屋の扉の前に控えるようになりました。その翌日には、文福はベッドに上がって鈴木さんに寄り添っていました。そして外出から5日後、鈴木さんは穏やかに旅立たれました。娘さんと文福に看取られながら。
余命1週間の宣告が出ている看取り状態にあり、意識もほとんどないご高齢者様を、ご逝去の5日前に外出させたことは批判されても仕方ないと思います。本人の体調を無視した、無謀な行為と言われても否定できません。「単なる職員の自己満足だろう」と言われたら、返す言葉はありません。「鈴木さんの死期を早めたかもしれない」と叱られたら、謝るしかありません。
家族から感謝の手紙
うれしいことに、鈴木さんがご逝去された後、娘さんから感謝のお手紙を頂きました。そのお手紙には、最期に父と一緒に思い出の秋谷漁港に行くことができて本当にうれしかったと書かれていました。それを読んで私たちは、鈴木さんご本人の気持ちにも、娘さんの気持ちにも沿ったことができたと感じ、最期の外出は間違っていないと思うことができました。
坂田たち職員は、「最期までその人らしく過ごしていただきたい」「ご入居者様の人生を最期まで輝かせたい」という思いで実施したこの外出行事を誇りに思っています。私はそんな職員たちを誇りに思っています。(若山三千彦 特別養護老人ホーム「さくらの里山科」施設長)
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良いのか悪いのか、専門家でもない自分にはわかりませんが、少なくとも自分や自分の家族がこんな最期を迎えられたら、それは本当に幸せなことだと思います...
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