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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

医療・健康・介護のコラム

新型コロナウイルスと闘うために「栄養の備え」を

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 新型コロナウイルスの感染者数が急激に増え、4月上旬には日本初の「緊急事態宣言」が発令されました。志村けんさんの死は、私にとっても大変ショックでした。小学生のころ、父の転勤で大阪から東京に移ることになりましたが、「東京に行けば志村けんさんに会えるかもしれない」と、子どもらしい希望を抱き、不安な気持ちを消したことを思い出しました。本当に残念です。新型コロナウイルスに感染し、亡くなられたすべての方のご冥福をお祈り申し上げます。

 ほんの数か月前までは「体力がある人ならそれほど恐れるウイルスではない」という情報もあり、正直なところ、私も含めて少し油断していたと思います。しかし、毎日状況が刻々と変化し、基礎疾患のない若い世代でも死亡例が報告されるようになってから、多くの方がこのウイルスの恐ろしさを感じたのではないでしょうか。

 今回は、栄養療法を専門とする日本最大の学会「日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)」から、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防に関する栄養学的提言」が4月10日に発表されたことを受け その内容の一部をお伝えしたいと思います。

食べ物のデマ情報に惑わされないで

 緊急事態宣言を発表した安倍総理の記者会見では、SNSを中心に、いわゆるデマが拡散し、人々を不安に陥れていることが指摘されていました。健康食品や特定の食品でも、あたかも新型コロナウイルスに効くかのような宣伝文句で商品を販売する業者が現れ、消費者庁が注意を呼び掛けています。 1)

 例えば、「ビタミンCはコロナウイルスから体を守る」「マヌカハニーサプリでコロナウイルス対策」「あおさで新型コロナ対策」「感染予防サプリメント、ビタミンD」など。いまだに治療薬やワクチンさえ開発されていないウイルスに対して、本当に効くのかどうか客観的な評価がなされていないものばかりです。すでに3月10日の段階で、消費者庁では改善要請、一般消費者への注意喚起を行っていますが、宣伝文句をうのみにしてそのような商品を衝動的に購入しないよう、お気をつけください。

栄養状態はウイルスと闘うための「土台」となる

 欧米各国で爆発的に感染者が増加し、イタリアやニューヨークでの医療崩壊のニュースは衝撃的でした。いずれ日本にもこの状況が訪れるかもしれないと思うと戦慄を覚えます。科学が発達した現代にあっても、治療薬やワクチンがないことの恐ろしさを改めて思い知らされます。もしウイルスが体内に入ってきたら、自分の免疫機能をもって未知のウイルスと闘わなければなりません。

 栄養状態は、ウイルスと闘うための土台です。どんなに最先端の医療機器を使って治療をしても、「土台」となる体がぐらぐらであれば、土台もろとも壊れてしまいます。ヨーロッパ臨床栄養代謝学会(ESPEN)の報告によると、集中治療室での長期の治療を要した患者の背景には、低栄養や筋肉量の減少があったとされています。 2)

 日本臨床栄養代謝学会の「新型コロナウイルス感染症の治療と予防に関する栄養学的提言」 3) では、まず初めに「栄養状態を評価すること」を提言しています。一般の方が自分の栄養状態を確認する第一歩は、定期的な体重計測です。痩せすぎていないか、徐々に体重が減っていないか、変動をチェックしてみてください。また、傷が治りにくい、皮膚が荒れやすい方は、たんぱく質や微量栄養素の不足かもしれません。鉄欠乏貧血の方は、爪がもろく平らになったり、スプーン状に反ったりしていることがあります。

 そして、食事の量や内容も振り返ってみましょう。外出自粛により「カップラーメンにおにぎり」といった食生活になっている人は、「たんぱく質不足」「微量栄養素不足」が心配です。カップラーメンを食べる時は、ラーメンにお湯を入れて待つ間に、野菜を電子レンジなどで加熱しておくといいですね。ハム、サラダチキン、うずらの卵の水煮や笹かまぼこなど、加熱が不要なたんぱく源の食品を常備しておき、温めた野菜と一緒にラーメンに添えると、グッと栄養バランスが良くなります。

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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