常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
自分だけ希望の部署に配属されずに涙…新入社員が落ち込む季節です
希望通りにならないと理解していても
Sさんは、システムエンジニアとして新入社員研修を受けていた。システムエンジニア職にも、近頃は女性が増えている。Sさんの同期にも何人か女性がいた。理系の職種であるシステムエンジニア職は、同じ新入社員といっても専門学校卒、大学卒、大学院卒と年齢もばらばらであることが多い。当然、専門的知識・経験にもばらつきが見られる。勉強熱心なSさんだが、大学院卒の同期と同じ課題をこなしていくのは、時にハードルが高い。もちろん研修担当者は、そこは織り込み済みで、無理のないようケアをしているのだが、当人にしてみれば、隣の机で知識・技能の違いを見せつけられると、傷ついてしまう場合もある。
それでも頑張って研修についていったが、研修後の配属先が、同期の中で自分だけ全く希望が通らなかったことで心が折れてしまった。必ずしも希望通りの配属にならないことは理解していたのだが、どうしても同期と比べてしまうのだという。そう話すSさんは涙を浮かべていた。
同期としばらく会わないように
会社の人事担当としては、せっかく採用した若い力を伸ばしていきたいと考えている。私は産業医の立場で、Sさんの気持ちを聴きながら、配属された部署での仕事のチャンスや職場環境について一緒に話し合った。数か月過ぎた頃には、すっかり明るい笑顔で仕事の話をしてくれるようになった。
人事担当者がSさんの仕事環境で、同期としばらく会わないように配慮し、上司や同僚も気を配ってくれたおかげだ。病気についての理解と職場環境の情報を共有してくれる人事担当者がいると、産業医はとても助かる。Sさんもそのかいあって、今年は元気にメンターとして後輩のサポートをしてくれている。新しく社会人になった方たちは希望を持って日々を過ごしていると思うけれど、職場の悩みに直面したときは、ちょっとだけ勇気を出して早めに家族や先輩に相談してほしい。(常喜眞理 医師)
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