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医療・健康・介護のニュース・解説

【米国報告 パンデミックで際立つ命の格差】(上)「スーパー店員の死亡が増えている」…報道の深層

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社会を維持する最前線には誰がいる?

 こうした中でも営業が続けられている施設の一つが、スーパーマーケットなど食料品店です。どんなに距離をあけても、レジで支払うときには接触があり、見ていて感染リスクがあるように感じられます。カリフォルニアのシンクタンクは、州内の基幹ビジネス従事者として最も多い「介護職」と「レジ係」の4人に1人がワーキングプアであり、彼らが公衆衛生危機の最前線に置かれていることを指摘しています。

 そこで気になるのが、感染者・死亡者の人種構成です。スーパーで店内を見回すと、店員には白人もいますが、人口比で考えて、アフリカ系(黒人)やヒスパニック/ラティーノが明らかに多いのです。アマゾンの配送も、ウーバーイーツなど飲食店のデリバリーも、作業を続けている工事現場も同様です。アフリカ系住民やヒスパニック/ラティーノたちは、白人に比べ所得が低く貧困率が高いことが知られています。新型コロナ感染が拡大した状況では、自宅や別荘でテレワークができるホワイトカラーの人たちと、現場に出て働く労働者たちの間には、「感染リスクの格差」も大きそうです。

目立ってきたアフリカ系住民の死亡

 そんな中、各都市・州で「死亡者に占めるアフリカ系住民の割合が、人口比に対して不釣り合いに大きい」という報道が、先週半ばから出始めました。後編では、さらにこの衝撃の状況について、現状指摘されている社会的背景をご紹介します。(鈴木晶子 セプテンバー・ハウスMAJプログラム・ディレクター)(つづく)

鈴木晶子

すずき・あきこ
  NPO法人パノラマ理事、セプテンバー・ハウスMAJ(米メリーランド州登録NPO)プログラム・ディレクター。臨床心理士。大学院在学中よりひきこもり支援に関わり、若年無業者支援、生活困窮者支援などの現場を経験。現在、米国在住。

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