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山崎まゆみの「心もとろける癒やしの温泉」

健康・ダイエット・エクササイズ

香りの効果を知りました

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 きっと前世では犬だったに違いない――。
 匂いには敏感な私は、どこに行っても「くんくん」します。

 温泉で思い浮べる匂いは、やはりゆでたての卵をむいた時のような、硫黄の香りでしょうか。正しくは、硫化水素がもたらす匂いですが、嗅覚がこれを察知すると温泉にやってきたことを脳が認識します。

 他に、温泉地で記憶に残る匂いといえば、鉄を含む温泉に入った時の金属臭。独特な強い臭いに、「効く」感じがするのは私だけではないでしょう。

 海沿いの露天風呂では、磯の香りが届いてきます。お天気のいい日ならば、真っ青な空と海がもたらす視覚的刺激とあわせて、とても晴れやかな心持ちになります。単純な私はカモメにだってなれそうな気がします。

 そう、温泉地にはたくさんの匂いがあるのです。

オリジナルのアロマでお出迎え

 旅館にも様々な匂いはあります。
 館内、それに客室に季節の花を飾る宿は少なくないですが、秋田県乳頭温泉郷「妙乃湯」の玄関には、いつも大ぶりのカサブランカが飾られています。独特な強い香りで優雅な気持ちになり、旅の疲れがほぐれます。

 エステサロンが併設された宿には、アロマが香りますね。
 お香をたいている宿もあります。端正な香りが漂う和服姿の女将が出迎えてくれたら、それだけで温泉宿に来たのだという満足感があります。

香りの効果を知りました

 宮城県鎌先温泉「みちのく庵」は、温泉街より少し高台にあり、木造の平屋スタイル。客室は全10室のこぢんまりとした小規模旅館です。

 玄関に入ると、優しい匂いがふんわりと香りました。清らかであり、木や土、葉っぱの香りもする。目を閉じると、動物たちの足音や風が吹き抜けて葉がざわめく音が聞こえてきそう。森の中にいる感じがします。

香りの効果を知りました

 「まゆみさんにそう感じてもらえてうれしいわ、ありがとう。みちのく庵をイメージしたオリジナルのアロマを作ったんですよ。うちは常連さんが多いので、再訪していただいた時に、『帰って来たな~』って思っていただきたくてね」
 はにかみ笑顔を浮かべる女将の安倍裕貴さんがそう説明してくました。

 1泊の短い滞在でしたが、ずっとこの香りに包まれていたら、体がなじみ、心がほどけてくるのを感じました。

 安倍さんのお客さんに対する心遣いは香りだけではありません。安倍さんが開発された着心地のいい 作務衣(さむえ) が置いてあります。
 「お尻が隠れる作務衣の方がくつろげるかなと思いまして」

こまやかな配慮。布団の横に手すりも

 それに加えて、宿泊する人への細やかな配慮も様々です。

 ある畳敷きのお部屋には、敷かれた布団のすぐ横に、籐で作られた手すりが設置されていました。 行灯(あんどん) よりも少し高いぐらいで、持ち運びができる小ぶりなものです。布団から起き上がるときに必要なお客さんが泊まるときだけ用意されます。

 「いつもお越しいただく高齢のお客様から、『宿では畳の上で布団を敷いて休みたい。こんな手すりがあるといいな』とイラストを添えてお便りをいただきましたので、ご要望通りに作りました」と、実物を見せてくれました。

香りの効果を知りました

 みちのく庵には、「和・なごみすい~と」というバリアフリールームがあります。車いすのまま自由に動き回れる広さのリビングと和室、そして半露天風呂も付いています。
 前回ご紹介した「親孝行温泉」にも選びたい宿のひとつです。

 旅館内の売店には、部屋に置いてある匂い袋、使用したせっけん、朝食でいただいたはちみつ等が棚に並びます。中でも売れ筋は、オリジナルアロマだそうです。私も、自分土産にみちのく庵オリジナルアロマを買いました。

香りの効果を知りました

 うららかな春がやってきました。これから山に新芽が芽生え、山菜も顔を見せます。
 春特有の青々とした、新鮮な香りが山にはあります。

 コロナウイルスの話題で持ちきりの昨今ですが、早く収束して、春の旅にでかけられたらそう願っています。

宮城県鎌先温泉 みちのく庵

宮城県鎌先温泉「みちのく庵」
【 所在地 】〒989-0231 宮城県白石市福岡蔵本字狐峯3-4-5
【 電 話 】0224-26-2111
【 泉 質 】ナトリウム、塩化物・硫酸水素塩泉、低張性中性冷鉱泉
【 効 能 】病後回復、疲労回復、慢性消化器病、慢性婦人病など
【アクセス】白石蔵王駅(東北新幹線)、白石駅(JR東北線)から定時送迎(前日までに予約)
【ホームページ】http://www.michinokuan.com/

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yamazaki_mayumi_prof

山崎まゆみ(やまざき・まゆみ)
温泉エッセイスト、ノンフィクションライター、VISIT JAPAN大使、跡見学園女子大学兼任講師。世界32か国1000か所以上の温泉を巡り、「温泉での幸せな一期一会」をテーマに各メディアでリポートしている。『続・バリアフリー温泉で家族旅行』(昭文社)等著書多数。最新刊は『行ってみようよ! 親孝行温泉』(昭文社)。内閣官房東京オリンピック競技会・東京パラリンピック競技会推進本部事務局「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議 街づくり分科会」「ユニバーサルデザイン2020評価会議」に参画し、日本の「バリアフリー温泉」の推進に力を注いでいる。温泉情報はTwitter、FB、インスタグラムで更新中。

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