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緊急事態宣言 大げさでもできる限りのことを 気分転換も重要 フランスの教訓

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 日本でも緊急事態宣言が出されることになったが、すでにフランスは3月17日から罰則付きの外出禁止令が敷かれ、早くも4週間目に突入している。

パン屋は営業を続ける店が多いが、ここは珍しく休業中

パン屋は営業を続ける店が多いが、ここは珍しく休業中

買いだめに走る集団心理

 フランスでは、外出禁止令が出る前から、もはやそれは避けられないと感じていた多くの国民が危機感を持ち、買いだめが少しずつ始まっていた。ある日の夕方、仕事帰りに開いているスーパーに寄ってみると、すでにトイレットペーパーの棚は空になっていた。「そのうち補充されるだろう」と気を取り直して帰宅するも、空の棚を見てしまうと、人は何かしらの衝撃と焦りをかき立てられるものだ。

 いよいよ翌日から外出禁止という日の夜は、カフェでもレストランでも最後の夜ということで人が押し寄せ、大変なにぎわいとなった。スーパーに人が押し寄せ、トイレットペーパーや、パスタなどの乾物、缶詰などの棚があっという間に空っぽとなった。レジは行列で数十分待つこともあった。スーパーや薬局などの限られた場所に人が集中したことで、感染がよけいに広がったと思う。

 スーパーが早く閉まるようになり、私は開いている時間に帰宅できず、結局、外出禁止令が出て数日たった週末に、ようやく買い物に行くことができた。それがかえって良かったのか、波が引いたかのようにスーパーはすいていた。そして、入荷されたトイレットペーパーが山のように積んであった。

 「あれがなくなる」「これが手に入らなくなる」といったデマも広がって、人々は不安になり、買い物に走る。「物流は止まらない」と大統領が宣言したにも関わらず、人間の集団心理は不安な方へ傾き、危険な行動に出てしまう。

外出禁止令の軽視で感染拡大止まらず、罰則強化

 外出禁止令が出てからも、スポーツや買い物は許されているとして、禁止令を軽視してパリ市内の公園に人が集まり、街中も大きな公園もセーヌ川の岸辺もジョギングラッシュとなった。感染の拡大が止まらないことを受けて、禁止令はさらに厳しい措置がとられ、外出許可なしで外出した場合の罰金の額がどんどん上がっていった。公園もセーヌ川の岸辺も閉鎖され、週末のマルシェもすべて禁止となった。外出禁止を守らず、感染が拡大するにつれ、いよいよ本格的なロックダウンに突入した。

 外出が大幅に制限される場合、その前後にどういった行動をとったらよいのだろうか。筆者が感じ、そして実行したことを書いてみたいと思う。

スーパーではマスクに眼鏡、手袋

▽外出禁止令が出る前に、すいているスーパーで少しずつ買い物をする。少しでも備蓄しておけば安心できるし、後日、混み合うスーパーに焦って並ばなくてもよいという利点がある。ただし、人に迷惑をかけるような買い占めはしない。1~2週間ほどの食料や生活必需品があれば、そのうち補充される。

▽スーパーの中で人が密集している場所や、レジの長い行列は避ける。

▽スーパーに行くときは、マスクに眼鏡もしくはサングラスをかけ、手袋をできるだけ外さない。

▽買い物をするときも素手で商品に触らない。

▽帰宅したら、商品の包装紙はすぐに廃棄し、せっけんでよく手を洗う。

▽現在服用中の薬がある場合、事前に医師に連絡し処方してもらっておく。

 これを見て、「大げさだ」と思われる方がいるかもしれないが、マスクや眼鏡など、飛まつ感染を防ぐため、できる限りのことをするのに越したことはないと思っている。マスクは効果がないとか、手袋はかえって危ないとか、いろいろ言われているが、使い方を間違えなければ、どちらもある程度の効果は期待できると思う。

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