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Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登

医療・健康・介護のコラム

不要不急と眼科…新型コロナ感染症で問われたこと!?

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不要不急と眼科…新型コロナ感染症で問われたこと!?

 勤務先である眼科専門病院(東京・御茶ノ水)での私の外来は、8年前から1日約20人の外来診療と、15人の治療に限る完全予約制という、かなり特殊な形です。

 この特別外来を始める以前は、1日に80人以上診る日もある一般診療でした。患者の話をゆっくり聞いて考えたり、説明したりといった時間的余裕はありませんでしたので、医師も患者も消化不良になりがちでした。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 蔓延(まんえん) で、不要不急の外出自粛の要請が国や自治体から出ています。今月7日には東京など7都府県を対象に、今月16日には全国を対象に、緊急事態宣言も発令されました。

 不要不急の「要」とは「生きてゆくための行動」、「急」は「今、しなければならない行動」だと私は考えます。とすれば、何らかの病気で定期的に医療機関に通院している方々全員が、いつも通り病院に行かなければならないというわけではないはずです。

 私の外来でも予約を延期したり、中止したり、近所の施設に転院を希望する方が2割から、日によっては5割近くになっています。

 その分、患者とのコミュニケーションの時間が十分とれ、医師としても心に余裕ができるという、ある意味で、メリットがあります。

 さて、最近の私の日課は予約延期した方の診療録をチェックすることです。

 すると、連絡をとらなければならない若干の例外はあるものの、予約日に来院しなくても当面問題なし、と思われるものが大半であり、患者の「不要不急」の判断はおおむね妥当でした。なので、眼科における(私の外来におけるというべきでしょうか)、不要不急でない患者は、実は半分くらいなのかもしれません。

 ただ、緑内障や種々の自己免疫疾患などのために継続的に点眼や内服が必要な例では、処方薬自体がなくなってしまうため、どうするのかという問題が起こります。

 日本では、患者と対面することが薬物処方の原則であるため、このような緊急の事態での扱いに苦慮します。通院患者には高齢者が多く、感染症に注意が必要な持病のある方、また「心療眼科」外来では、この異常な社会の空気の中、外出できなくなってしまう心の問題を抱える方もいます。障害者手帳、障害年金の更新には医師の診断書が必要ですが、書類提出期限が厳密で、そのために期日内に来院しなければならないという不合理もあります。

 災害国日本では少なからず災害時の経験もあるので、緊急時ルールを国で決めて国民に周知するとか、各医師の裁量に任せると宣言するなどしてもらわないと、現場としては甚だ困ります。

 とはいえ、国も国民も、実際に終息時期が読めない事態に直面して初めて、「不要不急」とは何かと改めて考えることになったのでしょう。私もまた、医療におけるそれを改めて考える機会となったのは確かです。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある。

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