夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか
医療・健康・介護のコラム
「みんな、自宅待機して」…免疫抑制剤を飲み、感染リスク抱える移植患者の願い
コロナショックで、世界が揺れている。先天性の基礎疾患を持つ私は、生きた心地がしない気持ち。最悪の事態を想像して、震えあがる日々を送っている。
最悪の事態とは、「新型コロナウイルスに感染したら、重症化して命を落とすのだろう」とか、「命は助かっても、夫からもらった腎臓をダメにしてしまうのではないか」とか。考えても仕方のないことだと、分かってはいるが……。
危機感ない若者たち やりきれぬ思い
私には、震え上がる理由がある。私たち患者は、移植された臓器への拒絶反応を抑えるため、毎日決められた時間に免疫抑制剤を服用する必要がある。生涯にわたってだ。
意図的に、免疫を抑制しているのだから、感染症にかからないよう、行動を慎まなくてはならないという自覚がある。だから、新型コロナ関連のニュースを見ると、背筋が凍りつき、徒歩3分の場所にあるスーパーマーケットにすら、怖くて出かけられなくなる始末だ。
そんな事情もあり、「コロナに感染しないよう自己免疫をアップさせましょう」と注意喚起している人たちを見ると、「そうはいっても、私は免疫力を上げられないしなあ」と切ない気持ちになる。「私たちは問題ないでしょ」なんて、不要不急の娯楽を楽しむ10代、20代の人たちを見ると、やりきれない気持ちになる。
閑散とした移植外来 今は病院に行くべきではない?
そんなモヤモヤした日々を送る中、4月1日、1か月ぶりに移植外来に出かけた。本当は、わざわざ出かけなくてもよかった。新型コロナ対策として、電話診察のみで免疫抑制剤を処方してもらえるよう、病院が配慮してくれていたのだ。それでも私が外来に出かけたのは、夫からもらった腎臓が元気に働いてくれているか、最低でも1か月に1度は検査しておきたかったからだ。
1か月ぶりに移植外来を訪れると、寒い中、ダウンジャケットを羽織った看護師さんが病院の外に待機していた。検温と簡単な問診が行われ、そこで「問題なし」と判断されてはじめて、院内に入ることを許可されるシステムになっていた。
その日の私の体温は、36.9度(もともと平熱が高い)。風邪などの症状も一切なし、ということで、クリニックの扉を開けると、いつもと違う光景が広がった。
普段は移植患者でごった返している院内は閑散としていて、「今は病院に行くべきではない」という患者の警戒心を、目の当たりにした気がした。看護師さんに聞くと、来院数は通常の半数以下になっているそうだ。
腎機能を測定する血液検査と尿検査を済ませ、結果が出るまでの1時間をどう過ごすか悩んだ。いつもなら、近くのカフェでカフェラテを飲みながら原稿を書いたりして過ごすのだが、今は何としても人との接触を避けたい。迷った末、院内の待合室で、他の患者と2メートル以上の距離をおいて待機することにした。
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文化の違い、世代の違い、感覚の違いは難しいですよね? 年末年初の中国の報道や情報を思い出して、なぜあんなに楽観視できていたのか今となっては不思議...
文化の違い、世代の違い、感覚の違いは難しいですよね?
年末年初の中国の報道や情報を思い出して、なぜあんなに楽観視できていたのか今となっては不思議に感じる人も多い事でしょう。
一方で、普通の人は普段忙しくてニュースを見る暇も考える暇もあまりなく、何か大きな事件が起こってから押し寄せた事態にパニック行動をとるものだとわかります。
もしも、本文が2月初頭にかかれていたら、普通の人からは神経質な人に見えたでしょう。
一方で、今では、一般人の感覚としても普通になってくるのではないかと思います。
今後、社会活動とのバランスもますます問題になるでしょう。
そして、マスク以外のものも正規品以外の代替品の準備が大事になります。
日本のセーフティネットは他の国に比べて高い位置にあると思いますが、それでも、多くの人が余裕を失う中で、弱い人の出すストレートなエゴに対していつでも誰でも優しくあれるとは限りません。
では、優しくしてもらうためにどうしたらいいのか、コンプロマイズドホストにもマイナスの少ない行動をとってもらうにはどうすればいいのか?
種々の条件や意識の乖離を考えて、お願いを出していくことではないかと思います。
特に、同じように病魔に弱い家族を持った人や、この条件下で儲かったり広告になるような人を味方につける意見を考える必要があると思います。
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