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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

介護・シニア

【最終回】パンデミックに鼻毛で対抗? 介護施設の関門をくぐり、父さんと衝撃の再会

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パンデミックに鼻毛で防衛? 関門を突破、再会した父さんに衝撃

漫画・日野あかね

着替えがないのも「緊急事態」だけど…

 新型コロナウイルスの猛威は、衰える気配がありません。父さんが一時入所している老人保健施設(以下、老健)でも、入所者の感染を防ぐため、2月末から「原則として、家族の面会は禁止」となりました。しばらく会えない日々が続き、「父さんは元気にしているだろうか?」と心配していると、老健から1本の電話がありました。

 愛知県のデイサービス施設から感染者が出たという報道があったので、「もしや、緊急事態!?」と、恐る恐る電話に出ました。すると、電話口で男性スタッフが「お父さんのお洋服が足りなくなってしまいまして」と言っています。なんだか気が抜けて「はぁ」とマヌケな声が出てしまいまいた。

 そのスタッフによれば、父さんはオムツをつけているのですが、それでもズホンやシャツを汚す回数が増え、持参した分では足りなくなってしまったとのこと。施設にある服を着せてくれていたのですが、その洗濯も間に合わなくなってしまい、やむを得ず私に連絡をすることになったそうです。

いざ! 厳戒態勢の老健へ

 父さんの着替えを持って老健に入ると、「新型コロナウイルスについて」と、感染防止策が書かれた大きな注意書きがドーンと貼られていました。その横には赤い字で「面会禁止中」と大きく書かれた紙も掲げられています。

 いつもと違う物々しい雰囲気にたじろいでいると、顔見知りの女性スタッフが、「厳戒態勢中ですので……」と言いながら、すごい勢いで駆け寄ってきました。

 そして、私の顔を見て「マスクの着用をありがとうございます」と、頭を下げます。どうやら第1関門突破のようです。

 次に「前髪を上げてください」と言われたのでその通りにすると、非接触型の体温計を私のおでこにかざして体温を測りました。通常の基準よりも厳しく、37度以上の熱があると施設に入れないそうですが、低体温の私は「36.0度」で、第2関門も突破。

アラフォーにして「手の洗い方」を習う

 続けて「こちらへ」と手洗い場に促され、スタッフの指示通りに目の前で手を洗ってほしいと言われました。息子のたー君が、こども園の先生から手洗い方法を教えてもらったと言っていましたが、アラフォーの私もマンツーマンで「正しい手の洗い方」を習うことになるとは! ところが、コレがなかなか深い。「手首まで」「手のひらは、逆の手の指を立てて溝までしっかり」など、これまでの自分の手の洗い方を見直す良い機会になりました。こうして、第3関門も突破です。

 ここまでで、すでに10分近く経過しています。いつもの面会ならば、玄関先にあるノートに名前を書いて、来場者の札を受け取れば、すぐに父さんに会えるのですが。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 23歳で少女漫画誌でデビュー。現在は、生まれ育った北海道で夫と暮らす。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、つらい治療を乗り越えて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載中。

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