深層NEWSフライデー
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大規模イベントでの感染拡大を警戒…患者急増を回避、ワクチン・治療薬の開発進める
国内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し続け、一斉休校やイベントの開催中止、外出の自粛などの影響が広がっています。BS日テレの「深層NEWS」では、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で副座長を務める尾身茂さんと、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会理事のヨーコ・ゼッターランドさんを迎え、休校、開催中止の効果や、治療薬、ワクチンの開発の見通しなどについて聞きました。(司会・右松健太キャスター、久野静香アナウンサー)(2020年3月20日放送)
<ゲスト>
尾身茂(おみ・しげる) 地域医療機能推進機構(JCHO)理事長、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長
ヨーコ・ゼッターランド 東京五輪・パラリンピック組織委員会理事、元バレーボール米国代表
<コメンテーター>
飯塚恵子(いいづか・けいこ) 読売新聞編集委員
「爆発的な急増」に危機感
右松 きのうの専門家会議は、会見が1時間以上遅れました。さまざまな意見が飛び交ったんでしょうか。
尾身 これから爆発的な患者の急増があり得るという危機感、そして、大規模イベントの中でメガクラスター(大きな感染集団)が起きてしまうと大変なことになるという認識は全く一緒でしたが、それにどう対処するかで、さまざまな意見がありました。国民の理解や協力を得ながらやるというのがいいのか、あるいは「決めたんだから、皆さんやってください」と言ったほうがむしろ安心するのか。また、長丁場になるから、あまりにも強めてしまうと息が上がっちゃうけれども、今が大事だから、少し集中しようという考えもある。その辺のニュアンスが違う見方があったけれども、その結果、よりきめの細かい見解を出すことができたと思います。
右松 さて、新型コロナウイルスについて最新情報をお願いします。
久野 政府の新型コロナウイルス対策本部の会合が開かれたのを受け、萩生田文部科学大臣は記者団に対し、全国一律の休校要請について延長しないと明言しました。
飯塚 休校をこれ以上続けないというのは、地域の実情に応じて判断してくださいということですよね。
尾身 そうですね。地域で感染がほとんど見られないところで学校閉鎖というのは、なかなか納得もいかないし、公衆衛生上の効果があると思えない。ただ、感染がかなり拡大しているようなところでは、一つのオプションじゃないかという考えを示したわけです。
北海道民の協力で、一定の効果
右松 学校の休校措置ということで社会に対してはものすごくインパクトのある政策になりました。これには一定の効果があったとお考えでしょうか。
尾身 例えば北海道でも、学校閉鎖を含むかなり厳しい対応をしてもらいまして、感染の爆発はなかった。これが学校閉鎖の効果だったのか、あるいは人々に、感染リスクが高い場所にはなるべく行かないでほしいと言ったことが効果があったのか、なかなか科学的に証明するのは難しいけれども、トータルとして一定の効果があった。
飯塚 北海道の例は、よい意味でも今後の教訓という意味でも、一つのモデルを明らかに示したわけですよね。油断すると、またもとに戻ってしまいますよという警鐘も込めている。
尾身 そうですね。北海道では、知事のリーダーシップで、道民がかなり協力してくれたと思います。ただ、北海道は、関東などとは人口も違うし、津軽海峡がありますので、そのまま適用できるかどうかわかりませんけれども。
右松 その集団感染のリスクが高い場所ということで、きのうの専門家会議でも示した図形がこちらですね。密閉空間で換気が悪い、近距離での会話や発声がある、手の届く距離に多くの人がいる、この三つがそろうと集団感染が発生するリスクが高いということで、こうしたことを北海道では一つずつ減らしていったということになるんでしょうか。
尾身 このことが、かなり多くの北海道の人に理解されて協力していただいたということだと思います。一つの条件だけよりも二つの条件が合わさる方が高リスク、三つになるとさらに高いリスクがあるということを、北海道の皆さんに理解していただいたわけです。
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