文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

深層NEWSフライデー

医療・健康・介護のニュース・解説

大規模イベントでの感染拡大を警戒…患者急増を回避、ワクチン・治療薬の開発進める

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

大規模イベントでの感染拡大を警戒…患者の急増を回避、ワクチン・治療薬の開発進める

日本の対策は3本柱

右松 ヨーコさん、イベントを開催する場合も、イベントに来る人たちと、イベント事業者が気をつけることがそれぞれありますよね。

ゼッターランド いろいろなイベントが中止になって、仕事がなくなって困っている方がたくさんいらっしゃいます。主催者としては、三つの条件のうち、どれをクリアして、どこまでだったら開催できるかと検討したり、来場者にも、こういうことに気をつけて来てほしいと提案することもできるでしょうから、そうやって配慮しながら開催を目指せるようになるといいと思いました。

右松 一方で、アメリカの例などを見てみますと、国務省が19日に全ての海外への渡航を中止する勧告を出しています。カリフォルニアでは、4000万人の住民に対して不必要な外出を禁じる行政命令が出ています。これはかなりきついですよね。

尾身 日本では、3本柱でやっているわけです。1本目は、一般の人には、先ほどの3条件になるべく注意してくださいということ。そして、クラスターを探し出して、次のクラスターができる連鎖を食い止めるのが、2本目。3本目の柱は、感染者で、特に肺炎などを疑う人はすぐに診断、治療を始めるということ。この3本柱で、今のところはもちこたえている。いわゆるロックダウン(都市封鎖)状況、街を閉鎖する必要がなかったのは、大規模イベントからのオーバーシュート(爆発的な患者急増)が起きていないからですよね。

右松 そのオーバーシュートという言葉、イタリアが現時点で死者数が世界最多という状況になって、私たちも初めて聞くようになったわけですが。

尾身 私たちは、さっきの3本柱をさらに強化して、オーバーシュートをなんとか避けようとしています。感染の拡大を完全にストップすることはできませんので、ぐっと抑えて、一気に上がらないようにする。そのうちに治療薬ができて、迅速に結果がわかる診断キットが使えるようになります。そうやって、ピークまで上がらないようにしたい。

大規模イベントでの感染拡大を警戒…患者の急増を回避、ワクチン・治療薬の開発進める

情報共有は生活圏内で

右松 自治体独自の対策として大阪府は、きょうから3日間の兵庫県との不要不急の行き来を控えるよう要請しました。

久野 その理由として吉村府知事が挙げているのが、国の専門家から受けたという試算です。きのうまでの感染者は78人、そして、この試算では次の7日間で586人、さらに次の7日間では3374人にまで増加するとしています。

飯塚 これはすごい数ですよ。何もしないでいればどんどん増えていってしまうという計算なんですけれども、こういう計算は専門家の中にはあるんですか。

尾身 この数を専門家委員会で議論したことがないのでコメントのしようがないんですが、今、大阪とか兵庫とか、関東もそうですけれども、人の動きが多いところで大事なのは、県を越えての情報の共有です。比較的大きなイベントを仮にやったとして、帰るときはみんなそれぞれ違うところに行くので、情報が共有されないと、どこが感染のもとだかわかりませんよね。人が移動する中で積極調査をやるときに、必ずしも都道府県などの行政単位じゃなく、むしろ生活圏内で情報の共有がないと、そのもとが見つけられませんから。2009年の新型インフルエンザのときに、日本はアメリカなどに比べて10分の1の死亡率に抑えられました。あの場合は学童が感染のドライビングフォース(駆動力)だったから学校閉鎖が有効だったのですが、大阪と兵庫の学校で集団発生した時に、迅速に両知事が学校閉鎖を果敢にやってくれたので、上がりかけていたインフルエンザの患者数が一度、収束したんです。そうしたことがなければ、アメリカ並みになっていた可能性がありました。

2 / 4

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

sinso_news_eye

深層ニュースFRIDAY
 「深層ニュース」は日本テレビ・BS日テレ・読売新聞が共同制作し、BS日テレで毎週月曜~金耀の午後10時から放送。金曜日は、人生100年時代を幸せに過ごすカギとなる健康やお金をテーマに展開している。 番組サイトはこちらをクリック

深層NEWSフライデーの一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事