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医療・健康・介護のニュース・解説

医療資源の不足が深刻なフランス ホテルはホームレス滞在施設に

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 フランスではマスクやアルコール消毒薬など、医療従事者を守るための医療物資の不足が深刻になっている。人工呼吸器も不足しており、一部の地域では、重症患者を軍の専用機で他県へ移動させている。新型コロナウイルス感染者が増えるにつれ、医療従事者の人手不足もあり、緊急を要する外来診療や手術、検査なども縮小された。最前線で働く医師や看護師が感染する例も出始めている。

車が少ないせいか、空気が澄んでいるように感じられる

車が少ないせいか、空気が澄んでいるように感じられる

 パリを本拠地とするLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループは、医療機関向けにアルコール消毒薬を製造し、無料で提供すると発表。製造許可が下り、提供が開始された。その後、他の化粧品製造会社も次々と同様な表明を行い、エタノール不足のため、製造許可が下りても消毒薬を製造できないでいた薬局へ無料で提供すると発表した。まずは医療従事者への支給が必須となるが、製造が順調に進めば市場へ出回る日もくるだろう。

20万人近くいるホームレスの安全確保へ

 フランスには、20万人近くのホームレスがいるといわれている。彼らは厳しい環境下での生活で体力もなく、病気になりやすい。すでに慢性的な病気を抱えている人もいるだろう。新型コロナウイルスの感染が拡大するなかでホームレスの安全を守るため、現在は閉鎖されている約1500のホテルのスペースが滞在施設として使用されている。検査で陽性と出たものの、入院を要さないホームレスのための施設も緊急に増やさなければならない。

 こういったホームレスを支援するボランティア団体の人員も不足している。外出禁止令が出て、ボランティアに参加できない人、健康上の問題で参加できない人も多く、団体はボランティアと義援金を募っている。

医療従事者を励ます夜8時の拍手

 外出が禁止されてから、毎晩8時にコロナウイルスと闘う医療従事者への感謝と声援の拍手を送る習慣が少しずつ広まった。日に日に、その規模も派手さも増して、今は、ベランダでネオンを点滅させたり、鍋の底をたたいたり、口笛やラッパ、教会の鐘も鳴り始めた。

バス停には、「家にいてください!」のポスター

バス停には、「家にいてください!」のポスター

 フランス国内の公共交通機関は、運行が通常の30~50%に減少している。パリのメトロの駅は一部閉鎖され、運行時間は朝6時から夜10時までとなった。空港も一部閉鎖された。また地域によっては、夜間の外出も禁止された。

 医療従事者への支援も始まり、公共交通機関は無料となり、石油メジャーのトタルは、車で通勤する医療従事者にはガソリンを無料にすると発表した。

それでもまだ外出するフランス人!

 外出禁止の規制が厳しくなり、生活を窮屈に感じているのはわかるが、「なぜ、まだこんなに外出しているのだろう?」と思うことが多い。外出はできる限り一人だけで、とされているはずだが、友人同士で集まってジョギングしたり、子どもたちはキックボードで遊んだりしている。買い物に子供を同伴して、近所の子どもと遊ばせている親もいる。

 そんな風景を横目に、マスクをして眼鏡をかけて、病院から足早に帰宅する毎日。最前線で、危険にさらされながら働いている同僚のことを考えると、悲しみとも怒りともつかない気持ちになる。このぐらい大丈夫だろう、という軽い気持ちが取り返しのつかない結果を引き起こす。(古田深雪 パリ在住・医療通訳)

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ふるた・みゆき  パリ・アメリカンホスピタル勤務。医療通訳、医療コーディネート、リフレクソロジスト

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