ペットと暮らせる特養から 若山三千彦
医療・健康・介護のコラム
介護施設は厳戒 面会禁止、外出行事中止…でも犬の散歩だけは継続
本当は今回から、私の著作で取り上げた 看取 り犬の 文福 について書くつもりだったのですが、急きょ切り替えて、経営する特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」の新型コロナウイルス対策について書かせていただきます。

さくらの里山科の玄関に貼られた面会禁止のお知らせ(右)
家族から「会えないのはつらい」の声も
日本国内でも感染が深刻化し、不要不急の外出自粛が呼びかけられた2月20日、ご入居者様のご家族様に手紙を出し、26日より面会を禁止させていただくことをお知らせしました。うちのホームは面会にいらして下さるご家族様がとても多く、中には毎日のように来て下さる方もいるので、大変申し訳ないのですが、すべてお断りしました。
ご家族様からは「これから、どれだけの時間が残されているのかわからないのに、会えないのはつらい」とか、「しばらく会わないでいたら認知症が進み、忘れられてしまうのではないか」といった声が多く聞かれましたが、もちろん皆さん、命の方が大切ということで、面会禁止を納得して下さいました。
ボランティアの受け入れもなし
面会禁止と同時にすべての外出行事を中止し、ボランティアの受け入れもなしとしました。さくらの里山科では毎月2~3回、ボランティアによる楽器演奏、合唱、踊りなどの公演があるのですが、それもすべて中止です。毎週火曜日に行っていた喫茶店イベントも、ボランティアなしでは不可能なので中止としました。同時に行っているパンや食料品などを販売する売店イベントは、業者を中に入れず、職員が品物を預かって売る形で続けています。それ以外の内部イベントはすべて中止としました。
ただし、犬の散歩のボランティアだけはお願いしています。犬の散歩はなしにはできませんし、職員だけではこなせませんから。そのため、お散歩ボランティアさんには、職員向けと同じ厳重な感染予防の対応をしてもらったうえ、犬がいるユニット(区画)の中までは入らず、外で犬を託すようにしています。
うちのホームは、特別養護老人ホームの中でもユニット型と呼ばれるタイプでして、ホームの中が12のユニットに仕切られています。一つのユニットの中には、居室が10室(完全個室制です)と、共有のリビングキッチン、トイレ3か所、お風呂があります。いわば10LDKのマンションのようなものなのです。そして、うちのホームの場合、各ユニットで介護職員がご飯とみそ汁を作っています。ちなみにおかずは 厨房 が作り、お鍋に入った形でユニットに配達されますので、その盛り付けや食器洗いもユニットで介護職員が行います。
そのような体制なので、従来、お米と、みそなどの調味料類は、業者さんが直接ユニットに届けてくれていました。しかし、業者さんがユニットに行くのは感染防止のために望ましくないので、1階までの配達に切り替えました。今は、私がお米などを各ユニットに配達しています。
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