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スポーツDr.大関のケガを減らして笑顔を増やす

医療・健康・介護のコラム

バレリーナに多い、足の後方の痛みは……

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 新型コロナウイルスの感染拡大により、色々なスポーツイベントが延期、もしくは中止になっています。また、学校の休校もあり、なかなか集まって運動する機会がない子どもたちも多いのではないでしょうか。このような状況で、自宅でできて、運動不足の解消や筋肉の衰えにも役立つトレーニング動画などを、多くのアスリートらが公開しています。

 ぜひ活用して、基礎的な動作を見直す機会にしたいですね。
 今回はバレリーナの足の話です。

足首の関節が足の裏側に折れ曲がる状態に

 大学生のバレリーナのケースです。

 22歳のYさんは、5歳からバレエを続けており、コンクールにも出場しています。しかし、最近、ポアント(つま先立ちの動作)の際に、足の後ろの方に痛みを感じるようになっており、徐々にレッスンを行うことが難しくなっていました。日常生活ではまったく問題ありません。

バレリーナに多い、足の後方の痛みは……

 バレエでは図に示したように、トウシューズでつま先立ちした姿勢を取りますが、この状態を「ポアントで立つ」といいます。この時、普段の生活では生じることがないくらい足首の関節が足の裏側に折れ曲がる状態になります。足関節の後方では、すねと足のジョイント部分にある距骨と、かかと部分の 踵骨(しょうこつ) (下の図参照)が接近し、骨だけでなく関節内部にある滑膜などの軟部組織が衝突することがあります。また、三角骨がある場合、これも衝突の原因になります。距骨の後ろ側にある三角骨は、日本人の10%ぐらいに見られる余剰骨であり、痛みのない人もいます。

バレリーナに多い、足の後方の痛みは……

 ポアントで立つこと自体、やったことのない人には難しい姿勢です。三角骨が原因でポアント時に足関節後方の痛みがある場合、まずは無理をせず、リハビリテーションを行います。足の指を1本1本動かすようなエクササイズ、足の裏の筋肉の強化、また骨盤、 大腿(だいたい) 、下腿の筋肉のバランスを整えることが大切です。しかし、安静にしたり、リハビリテーションをしたりしてパフォーマンスが改善されない場合、手術が選択されます。

それでは、Yさんの経過です。

 3か月ほどのポアントの制限とリハビリテーションを行ったものの、痛みが改善せず、手術を受けることになりました。手術は関節鏡を用いて小さな創から、三角骨の摘出と周囲の炎症を起こしている滑膜の切除を受けました。術後は早期から足関節の可動域訓練や足の指の筋力訓練を開始しました。腫れが落ち着くと、歩行の違和感もなくなり、筋力の改善を見ながら段階的に運動強度を上げ、バレエにも復帰しました。

三角骨だけでない足の痛み

 バレエでは足の使い方が特殊なので、足のトラブルが多く発生します。三角骨以外の余剰骨として足の内側が痛くなる 外脛骨(がいけいこつ) も知られており、これには足のアーチが低い人に痛みが出やすくなります。普段から足の指のエクササイズを行うだけでなく、骨盤周囲や大腿の筋力もしっかりつけるようにしましょう。(大関信武 整形外科医)

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Ozeki-7-pro

大関信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

 1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。2002年滋賀医科大学卒業、2014年横浜市立大学大学院修了。2015年より東京医科歯科大学に勤務。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、アキレス腱断裂、骨折多数など自身が多くのケガを経験。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。 現在、拓殖大学ラグビー部チームドクター、文京ラグビースクールコーチ兼メディカル担当。2019年ラグビーワールドカップでは選手用医務室ドクターを担当。八王子スポーツ整形外科、蓮江病院でも診療。

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