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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナ 抗ウイルス薬「レムデシビル」の医師主導治験 国内でも開始へ

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米NIH主導の国際共同治験に参加

新型コロナ 抗ウイルス薬「レムデシビル」の医師主導治験 国内でも開始へ

 新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬は今のところ存在しないが、未承認薬の医師主導治験が国内でも間もなく始まるほか、様々な既存薬の適応外処方が研究され、開発の取り組みが本格化している。国内の全症例の登録を目標とした観察研究(レジストリ)もスタートした。

 国立国際医療研究センター(東京都新宿区)は、米ギリアド・サイエンシズ社が開発中の抗ウイルス薬「remdesivir」(レムデシビル)の医師主導治験を開始する。米国立衛生研究所(NIH)が主導する国際共同治験に参加し、3月中にもスタートさせたい考えだ。23日に開いたメディア向け勉強会で、大曲貴夫・同センター国際感染症センター長が説明した。

 レムデシビルは、もともとエボラ出血熱ウイルスに対する治療薬として開発された。新型コロナウイルスを含む複数のコロナウイルスでの抗ウイルス活性が示されている。

 国際共同治験は、米国、日本、韓国、シンガポールを含む最大約75の医療機関が参加する予定。新型コロナウイルス感染症と診断された成人の入院患者における新規治療薬の安全性、有効性を評価する。プラセボ(偽薬)群を対照とした無作為化二重盲検試験で、新たに別の有効な治療法が表れた場合にはそれも加えて比較することもある「アダプティブ」試験として行われる。

 当初予定の被験者数は日本を含む全体で約440例。日本国内の目標症例数は定められていない。肺炎が認められるなどの成人患者が対象で、主要な評価項目は、開始15日目での臨床状態を8段階で評価する。100例目の患者のが評価された時点で、評価項目などについて再検討するとしている。レムデシビルについては、中国で行われている別の治験の結果が4月にも得られるとされており、それらの結果も今後の治験の進め方に影響する可能性がある。

吸入ステロイド「オルベスコ」の特定臨床研究を計画

 大曲氏はまた、新型コロナウイルス感染症に対する国立国際医療研究センターでの包括的な治療・研究開発戦略について説明した。それによると、肺炎が認められない患者に対しては、「シクレソニド」(商品名オルベスコ・ぜんそく治療薬の吸入ステロイド)の使用を検討する。同センターで特定臨床研究を計画中という。シクレソニドについては、日本感染症学会が観察研究を進めている。

 肺炎がある患者で、レムデシビルの治験に適さない患者には、「ファビピラビル」(商品名アビガン・新型インフルエンザ薬)と「ナファモスタット」(急性膵炎の治療薬)の併用も含めて検討している。さらに、極めて重症の患者では、免疫調整剤の追加を検討するとしている。アビガンについては、藤田医科大学が主導して無症状、軽症患者を対象にした臨床研究が進められている。

抗HIV薬の効果には否定的な研究論文も

 抗HIV薬の「ロピナビル・リトナビル」(商品名カレトラ)も適用外使用として治療に用いられており、把握されているだけでも3月1日時点で54例に使われているという。

 ただし、カレトラについては、中国の研究グループから、改善効果に否定的な研究結果も発表された。国際医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に3月18日に掲載された論文で、重症の入院患者199人を標準的な治療にカレトラを加えたグループと、標準治療だけのグループに分けて臨床的な改善の時間を比べたところ、差がみられなかったというものだ。これについて大曲氏は、症例数が少ないことや評価項目にも議論があることなどから、「まだまだ検討は必要」などと述べた。

 治療薬にはこのほか、抗マラリア薬の「クロロキン」、肝炎治療薬の「リバビリン」「インターフェロン」などが候補薬として検討されている。

 国立国際医療研究センターは、国内の全症例の登録を目標にした観察研究(レジストリ)も開始した。重症化する患者の特徴や薬を投与した後の経過などを調べるのが目的だ。大曲氏は「無症状や軽症の人が多い一方で重症化する人もいるという区分けも、患者情報から分かってきた。新しい感染症なので一人ひとりのデータが非常に重要になる」と話している。(読売新聞専門委員 田村良彦)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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