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マスク誤用は御用! 「鼻出し」「顎かけ」「手洗いせず」は資源の浪費だ
宮坂勝之・聖路加国際大学大学院名誉教授
マスクは、花粉症対策、保湿快適性、顔を隠すためなど様々な目的で使われる。医療者がマスクを使うのは、自分を患者の血液や体液、 飛沫 から守るためでもあり、その際には手袋や時にはゴーグルも併用するが、通常は、自分や他の人から病人や高齢者に感染させないのが主な目的だ。
その医療者が使うマスクもままならぬほどに、一般のマスク使用が増えている。今、多くの人がマスクを使う目的は、他人に病気をうつしたくないというよりも、新型コロナウイルスから自分を守りたいからだろう。
しかし、マスクにその効果はほとんどないどころか、不適切なマスク使用は、むしろ感染の可能性を増しかねないことはあまり知られていない。
正しい理解で「抑制的な使用」を
着用前後に手指を洗わない、鼻出しマスクや顎マスク、ポケットに入れての使い回しは誤った使い方の典型だ。感染予防に大切なことは、マスクの使用ではなく、こまめに手指の衛生に努めることであり、むやみに顔面や頭髪、あるいは人の手が触れたり、唾液が飛散したりする部位に触らないことである。3月2日、米国公衆衛生局長官も、同じ趣旨の発言をしている。
マスクに心理的な安心感を持つ人は多く、このご時世、マスクを求める心情に水をさす議論をすれば、反発は避けられない。しかし、テレビを見れば、鼻出しマスクでマイクに向かう姿があり、それを写すカメラマンは顎マスク姿であったりと、感染防止のためにならない映像が無批判に流され、しかも、マスク不足を助長する。メディアは、人々の関心を、正しい理解による「抑制的なマスク使用」に向けてほしい。
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