石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」
医療・健康・介護のコラム
積極的に家事をしているのですが、妻の機嫌が悪いのです
最近は「夫源病」に関しての講演会の依頼が増えています。夫が原因で妻が体調を崩す夫源病は、私が男性更年期外来を開設し、中高年の男性を診療しているうちに発見した病気です。診療を受ける患者さんは主に中高年の男性ですが、夫が更年期症状になって仕事に行けないと経済的に心配なので、多くの妻が夫の診療に付き合ってくれます。
夫婦で診察を受けると妻が元気に
ある夫婦の患者さん。初めは夫の診察が中心でしたが、よく話を聞いてみると、妻も更年期障害で4~5年、苦しんでいるというのです。専門医に診察してもらい、ホルモン補充療法や漢方薬の治療を受けていますが、「一向に改善しない」と言います。私は婦人科の専門医ではないので、妻の診察はしていなかったのですが、一向に改善しないというので、仕方なく二人とも診察をすることにしました。すると、驚くことに、妻の更年期障害があっという間に改善したのです。
実は、こうしたケースは珍しくありません。約3か月以内に調子がよくなる妻が多く、たった1度の診察で元気になった方もいます。このような妻がかなりたくさんおられたので、私はその原因を探ってみることにしました。
几帳面夫と良妻賢母
主に二つのことが考えられます。典型的なケースで説明しましょう。
夫は真面目で 几帳面 、細かいことに気がつく有能な会社員。しかし、あまりにも几帳面なため、うつや男性更年期障害を発症し、当院の外来を受診されるのです。会社で几帳面な方は、家庭でも几帳面で細かいことに気がつくために、妻がかなりのストレスを受けている場合があります。夫に対しては、お薬や休養を基本として治療しますが、大事なのは自分の生き方。几帳面な方は、少しざっくり考えるほうがいいことを理解し、行動してもらいます。このような治療を、一般的に認知行動療法といいます。夫が会社や家庭であまり細かいことを言わなくなると、自分自身が楽になる一方、妻のストレスもかなり減るようです。
一方、妻はいわゆる良妻賢母で、不満があっても我慢をするタイプ。カウンセリングをすると、夫に対する不満をいろいろと口に出します。それをまとめて診察室で話し始めると、夫婦げんかが始まることもあります。そうなれば、しめたものです。我慢強い奥さんは、不満を口にすることによって、ストレスがかなり解消します。
夫が細かいことを言わなくなることと、妻が不満を口に出すこと。この二つの要素によって、夫源病はかなり改善するように思われます。
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