認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
「雰囲気」重視だけど、「近くて便利」も捨てがたい 理想の施設はどっち?…特養入所大作戦(4)

漫画・日野あかね
一度入ったら、やり直しができない
申し込みをした特別養護老人ホーム(特養)のうちの一つから「入所の順番が次になりました」と連絡があり、父さんが入所する特養が決まりつつあります。
胸をなでおろした反面、実は「本当にこの特養でいいの?」と考えてしまう部分もあったのです。特養に一度入所してしまうと、施設の入所順を決める持ち点が0になってしまうと聞いたためです。そうなると、特養の待機者が数百人に上る現状では、よほどの事情がない限り別の特養に移動することはできません。
私たちの住む街では、同時に5施設まで申し込むことができますが、希望順位はつけられません。「入所したい特養はここだけ!」と決まっているなら、申込書に一つだけ施設名を書くこともできるのですが、我が家のように切羽詰まった状況では、上限まで申し込んでおいて、一番早く順番が回ってきた特養に入所する流れがいいだろうと、ケアマネジャーからアドバイスを受けていました。
その助言通りに申し込みをした5施設は、すべて自分たちの目で見て納得して選んだものの、心の中で何となく序列ができていたことは否めません。
第1希望は、雰囲気が最高! でも、いつ入所できる?
私と母さんの第1希望は同じでした。そこは敷地内に菜園を持ち、採れた野菜を施設の入り口で販売しているため、地域との交流もあるようです。ホールに置かれたグランドピアノをボランティアの人が弾きに来て、カラオケ大会を開催。デイサービスに通い始めてから、カラオケに目覚めた父さんが喜ぶ顔が浮かびました。母さんが特に「ここだ!」と思った点は、ほかの施設よりも、男性入所者や比較的元気な方が多いということでした。
ただ、私たちが重要視していた「面会の行きやすさ」の点では、いまひとつ。実家からのバスの本数が多くなく、施設の最寄りのバス停から、畑しかない道を10分近く歩きます。かかりつけの病院からはかなり遠く、通院の際は介護タクシーが必須。何かあればほかの病院へ運ばれるでしょう。
それでも、雰囲気がとても良く、父さんが楽しく暮らす姿を想像できたことが、それらのデメリットを上回る魅力だったのです。ところが申込書の再提出をしても、その特養の入所順位はあまり上がりませんでした。
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