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「うつさない」から「うつされないように」 マスクの意識変わったフランス

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「うつさない」から「うつされないように」 マスクの意識変わったフランス

 3月16日の夜8時からマクロン大統領の演説があると発表されて、「アレだ」と、みなが心の中で思ったに違いない。いよいよ来たか、と背筋が凍った。

 その日のスーパーには、これが最後の買い出しだとばかりに客が押し寄せた。買い物を済ませると、大統領の演説開始に間に合うように、みな足早に店を出て行った。

 2週間の外出禁止宣言から一夜明けた早朝、窓の外を見ると、近くのスーパーの前に貨物トラックが止まっていた。空っぽになったスーパーに物資が届いたのだ! 開店の30分以上も前に、すでに人が並び始めた。マスクをしている人もいる(写真)。

大統領、マスクは「自分の身を守るため」

 今までは、マスクは病気の人がするもので、病気を人にうつさないためにするものと認識されていたが、パンデミック警戒レベルがフェーズ4になって外出禁止令が出たとき、マクロン大統領が「自分の身を守るため」と何度も言ったことから、マスクはうつさないようにするものから、うつされないようにするものと大きく意識が変わった。

 外出禁止令が出るまでは、外でマスクをしている人は意外と少なかったが、大統領の力説でマスクをする人が格段に増えた。今まで、日本人のマスク姿を見て、忌み嫌っていたフランス人も、今はそうする理由がよくわかったに違いない。

医療従事者に通勤許可証

 外出禁止とはいえ、生活必需品の購入など生活に必要不可欠な外出はでき、医療従事者の通勤も認められている。筆者が勤務する病院では、医療従事者のための通勤許可証が発行された。託児所が閉鎖されたことでやむを得ず現場に出られない、あるいは健康上のリスクがあるなどの職員は、労働時間を強制的に削減された形となるため、部分的失業保険制度が適用される。現場で働く医療従事者のリスク管理、毎時間、変更・追加される厚生省からの通達の開示……。やることが山ほどあるが、スタッフはすでに足りない。

 今までのように自由に病院へ出入りすることは禁じられ、トリアージ(患者の重症度に応じて、治療の優先度を決めること)が徹底されている。患者さんがひとりで移動できない場合を除いて、付き添いの人は院内に同行できない。お見舞いも禁じられた。人との間隔は1メートル以上とる。手洗いの徹底、消毒ジェルの使用、マスクの着用。前日までとはうってかわった状況に、廊下で同僚とすれ違っても、どことなくぎこちない。

 夕方、病院から外に出ると、車の量も人の数も格段に少なくなっていた。公共交通手段は残っているものの、バスには乗客が2、3人しかおらず、離れて座っていた。

人の姿が消えたエッフェル塔周辺

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 エッフェル塔周辺は、週末のにぎわいがウソのように人っ子一人いない状況に激変(写真)。家の近所で軽く運動することは認められているので、ジョギングしている人はちらほら。これから、ほぼ監禁に近いような状態が2週間も続くとなると、エコノミークラス症候群の恐れも出てくる。太陽が出ようものなら、うずうずして外に飛び出したくなる衝動にかられるに違いない。2週間という期間はおそらく、そのような問題を考慮したものだろうが、さらに延長される可能性もあると思う。

 不要な外出をした場合は罰金が科せられる。すでにパトカーが巡回しており、職務質問されている人も何人か見た。(古田深雪 パリ在住・医療通訳)

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ふるた・みゆき  パリ・アメリカンホスピタル勤務。医療通訳、医療コーディネート、リフレクソロジスト

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