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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

祖母の貼付薬を擦り傷に貼った2歳児が…成人1回分の薬が命を奪うことも 日本も誤飲・誤使用防止の仕組みを

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家庭内にも劇薬が

 医薬品は成分がわかっており、中毒を起こす量や発現する症状もある程度わかっています。乳幼児が医薬品を誤飲しても、重篤化することはほとんどありません。しかし、一部に危険性の高い薬があります。

 成人用の薬のなかには、1錠でも子どもを死亡させるものがあり、これは「one pill can kill a child」として恐れられています。危険性が高い医薬品には、向精神薬、気管支拡張薬、血圧降下薬、血糖降下薬などがあります。最近では、飲む回数を減らした薬が開発されたり、在宅での治療が進んだりして、家庭内でも劇薬が使用されるようになっています。前者では、薬剤が長い時間、体にとどまるため、中毒を起こしやすくなります。後者では、 祖母のがんの 疼痛(とうつう) を軽減する貼付薬「フェンタニル」を2歳児の膝の擦り傷に貼ってしまい、死亡した例 があります。

 日本薬剤師会「STOP! 子どもの誤飲」、東京都「薬の誤飲を防ぎましょう」、日本製薬団体連合会「『医薬品』 子どもの誤飲を防ぐ 3つのルール」など、注意を促すリーフレットが出ています。しかし、誤飲は減少していません。リーフレットの内容を確実に実行すれば防止できるはずですが、実際の生活ではそう簡単にいきません。注意喚起するだけで誤飲を防止するのは無理なのです。

チャイルド・レジスタンスの導入を

 子どもが簡単に操作できないようにする機能のことをCR(チャイルド・レジスタンス)といいます。薬品の誤飲を予防するひとつの方法として、乳幼児が開けることができないような安全キャップがついた容器や、簡単には取り出せない安全包装された錠剤があります。医薬品に対するCRとしては、

  1. 開封強度の強さによる制御(強く押す)
  2. 力学的な開封手順の複雑さによる制御(押して、回す)
  3. 認知的な開封手順の複雑さによる制御(フィルムをめくる)

などが考えられています。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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2件 のコメント

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薬の管理

CHAKI

薬局の薬剤師です。医療用麻薬などでは取り扱いの注意喚起もしていますが、誤飲や誤使用についてもう少し気をつけてお話ししなければと感じました。といっ...

薬局の薬剤師です。医療用麻薬などでは取り扱いの注意喚起もしていますが、誤飲や誤使用についてもう少し気をつけてお話ししなければと感じました。といっても説明をほとんど聞かない方も多いのですが…。小さいお子さんやお孫さんのいる方、危険性の高い薬を使用している方には、じっくり話してみようと思います。チャイルドレジスタンスについても取り入れていきたいですね。

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義母が

aki

妊娠中にうかつに湿布薬を使ってはいけない、妊婦が避けるべき成分入りもあるから、ということをどこかで見聞きしていたので、湿布薬を自分や子どもたちに...

妊娠中にうかつに湿布薬を使ってはいけない、妊婦が避けるべき成分入りもあるから、ということをどこかで見聞きしていたので、湿布薬を自分や子どもたちに簡単に使わないようにしていました。ところが、先日、息子(小学生)が見慣れない湿布薬を貼っており、どうしたのか聞いたところ、筋肉痛か何かで足が痛い、と義母(祖母)に言ったら自分の湿布薬を貼ってくれたとのこと。嫌な予感がして確認すると、15歳未満には使用しないでくださいとあり、すぐはがしました。今回は命に関わるような誤使用ではなかったからよかったものの、この記事にあるような強い薬の湿布薬だったらと思うと、ぞっとしました。祖父母は要注意です…。

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