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第48回医療功労賞

イベント・フォーラム

[第48回医療功労賞]中央表彰者の10人(下)

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〈国内部門〉

震災に負けず診療続ける
吉沢(ひろし)  83 医師

吉沢煕さん

 1985年に義父の診療所を継いだ。以来、地域の内科医として住民の健康を守ってきた。専門は内視鏡検査。1日に10件以上の検査をすることもあり、胃がんや大腸がんの早期発見に努めた。

 東日本大震災による津波で、診療所と自宅を失ったが、翌々日から避難所を巡回。DMAT(災害派遣医療チーム)と共に設置した救護所で診療にあたった。4か月後にはプレハブの仮設診療所を作り、翌年、診療所を再建した。

 昨年6月、脳 梗塞こうそく で倒れた。現在は長男が診療し、復帰を目指してリハビリに励む。〈岩手県陸前高田市〉

ALS患者らに寄り添う
小林義文 61 理学療法士

小林義文さん

 全身の筋肉が衰える筋 萎縮いしゅく 性側索硬化症(ALS)など難病患者の支援をしてきた。

 青年海外協力隊員として25歳でマレーシアへ。障害者のリハビリ支援活動で、ALSとみられる女性に出会い、帰国後、理学療法士として働きながら支援を始めた。1990年の「日本ALS協会福井支部」の設立に携わった。ボランティアで家族らの相談に乗り、手指が動かなくなった患者と意思疎通できる機械の普及に尽力。福井県難病支援センター相談員の傍ら、患者同士で経験や思いを話し合う活動に取り組む。〈福井県坂井市〉

障害児1000人以上を診る
()()()政夫 62 医師

口分田(くもで)政夫さん

 重症の心身障害児を診る医師が少ない時代から30年以上、1000人を超える人の診療や生活支援をしてきた。

 医学生時代に障害児と交流するサークルに入った。意思疎通が難しそうでも、自分の世界を持っていることに気づいた。1984年から重症心身障害者施設「びわこ学園」(現びわこ学園医療福祉センター草津)に勤務、91年からは施設長を務める。

 発達障害の人のケアや、高齢の障害者の緩和ケアにも力を入れる。2015年に診療・看護の実践マニュアルを出版。医学生や看護学生向けの授業も担当する。〈滋賀県野洲市〉

難病患者の在宅療養支援
市川桂二 74 医師

市川桂二さん

 パーキンソン病や筋 萎縮いしゅく 性側索硬化症(ALS)などの治療に携わった。

 米国留学を挟み、兵庫県立病院で勤務。1995年から県難病相談センターの副所長、所長として、年4000件の診療や生活相談を行った。患者が安心して在宅療養生活が送れるように、県内の医療機関のネットワーク構築を先導した。約400機関が関わり、重症患者の円滑な入院や、家族が休息するための「レスパイト(休息)入院」が可能になった。

 定年退職後も、同県明石市で診療を続ける。〈兵庫県芦屋市〉

巡回健康相談 町内を奔走
川野公江 69 保健師

川野公江さん

 35年間、徳島県神山町の健康作りに奔走した。巡回健康相談を町内31か所で毎月開催。また、町内を70~80人で歩く「健康ウォーク」を始めた。

 精神障害者の社会参加の機会を増やすため、ソーシャルクラブを創設。小規模作業所の設立にも携わった。高齢者の保健事業ではボランティアの介護サポーターや、認知症サポーターの養成に取り組んだ。

 退職後の2016年、NPO法人「生涯現役応援隊」活動を開始。無料の介護相談、地域の高齢者が集まるサロンの運営、体操指導などをしている。〈徳島県神山町〉

小豆島で医療・健康に尽力
吉元和子 61 看護師

吉元和子さん

 昨年春、公立病院を定年退職するまで約30年、香川・小豆島の住民の医療や健康増進に力を尽くした。病棟勤務だけでなく、訪問看護にも従事。巡回診療や、高齢者向けの健康教室を始めた際には計画段階から参加した。フェリーの中で、出前講座を開いたこともあった。島内の二つの公立病院が統合し、小豆島中央病院ができた2016年、初代の看護部長に就任。交流や連携のあまりなかった両病院のスタッフをまとめた。

 非常勤看護師として同病院で勤務する傍ら、人材育成、確保に奔走している。〈香川県小豆島町〉

 

リハビリ患者励まし50年
大西芳輝 73 理学療法士

大西芳輝さん

 50年にわたり、病院や地域などでリハビリに励む人を支えた。

 鹿児島県霧島市や日置市の病院に勤務しながら、地域住民らに介護方法について講義をした。専門職がいない離島や山村にも赴き、病気やけがの後遺症に悩む住民を支援してきた。

 同県薩摩川内市の離島・ 上甑かみこしき 島では、自主的に行えるリハビリを指導。沖永良部島では介護教室の講師を務めた。2005年までの17年間は、県理学療法士協会の副会長を務め、県内のリハビリの質の向上に貢献した。現在も、若い理学療法士らの相談に乗る。〈鹿児島県霧島市〉

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