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エッフェル塔周辺 つかの間のにぎわい コロナで緊張感走るフランス 

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 急速に新型コロナウイルスの感染が広まったフランスでは、いよいよマクロン大統領の声明により、託児所を含む全国の学校を一斉休校することになった。このまま休校が続けば、そのまま春休みに突入して、子供たちは1か月以上も学校を休むことになる。春休み中は別として、今回のコロナウイルス感染防止のための休校中は、今までの授業の復習をオンラインで受けることができるという。

100人以上の集会禁止

   学校閉鎖に続いて、スーパーなどの食料品店、薬局、銀行、ガソリンスタンド以外の全ての店舗や施設を閉鎖することになった。レストラン、美術館、映画館、カフェ、デパート、図書館、スポーツクラブなどは全て閉まり、100人以上の集会は禁止された。

 私がフランスに来てから、こんな事態は初めてのこと。さすがに緊急事態と緊張感が走るなか、日曜日(3月15日)に恐る恐る、閉鎖されたエッフェル塔の界隈の様子を見に行った。きっと閑散として、ひとっこ一人いないに違いない、そう思っていた。

塔周辺はごった返し 行き場なく?

エッフェル塔周辺 つかの間のにぎわい コロナで緊張感走るフランス 

 ところがだ。雨続きで久しぶりに晴れた日曜日、そこは人であふれていた(写真)。美術館やデパート、レストラン、カフェからも閉め出された観光客や、近所の子供連れの家族や犬もいつも通り、いや、それ以上に多かった気がする。ピクニックをする人で芝生はいっぱい、ダンスを踊っている女の子たち、筋トレ中の男子、フラフープに夢中の人もいる。

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 エッフェル塔に近くなればなるほど観光客が増え、遠くなればなるほど地元の人たちの憩いの場であるシャン・ド・マルス公園は人でごった返していた。公園内にあるミニ遊園地は閉鎖されていたけれど、子供用に区切られている小さな公園は子供たちでいっぱいだった。ジャングルジムに群がる子供たち、滑り台や砂場で遊ぶ子供たちが歓声を上げている。フェンスで囲まれたバスケットボールのグラウンドも、いつもより人が多い(写真)。

 公園内に設置されている、テイクアウトのお店の前のテーブルでサンドイッチを食べている人もいるし、優雅にコーヒーを飲んでいる人もいる。クレープの移動販売店の前には人が並んでいる。いつもなら平和な光景として見ていたこの景色が、どうも落ち着いて見ることができない。 

 マクロン大統領は声明で、不要不急の外出は避けること、仕事や学業はできるだけテレワークでと呼びかけた。学校を閉鎖した理由は、子供は発症しないケースも多く、また発症したとしても重症化しないが、強力な感染源になる可能性があるから。コロナウイルスは動かない、人間が運ぶのだ、と。確かに、託児所で風邪やインフルエンザが (まん)(えん) すると、家族に感染が広がるケースがとても多いことが、それを証明している。

感染急拡大は身体接触の多さや手洗い不足?

 ヨーロッパでこれだけ早く感染が広がったのは、やはり、あいさつなどで握手や頬へのキス、抱き合うなど接触が多いこと、手を洗う習慣がないことなども原因だと思う。今は盛んに、手を洗うこと、手で口や鼻、目を触らないこと、マスクをすることが言われているが、日本のようにこまめに手を洗うということが習慣化されていないので、どこまで実践できているか不明だ。

 もちろん、消毒ジェルは売り切れ続出で、政府は消毒ジェルを各薬局で製造販売しても良いと許可し、定価も厳しく決められているが、材料不足もあり、需要には追いつかず、いまだに品切れ状態が続いている。私は外出時には、手袋をできるだけ外さないようにしている。サージカルマスク(医療用マスク)は医療従事者優先で、医師の処方箋がないと買えなくなってしまった。もちろん普通のマスクも売り切れです。

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