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肩関節の脱臼…3回続いたら手術検討

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 肩は全身の関節の中で最も脱臼しやすい。スポーツに親しむ10~30歳代の人に多い。繰り返し肩が外れると、手術が必要になる場合もある。脱臼したら、整形外科で適切な治療を受けることが大切だ。(佐々木栄)

肩関節の脱臼…3回続いたら手術検討

 肩甲骨と上腕骨が組み合わさってできている肩関節は、可動域が非常に広く、あらゆる方向に自由に回せる。その反面、肩甲骨の端にある「受け皿」の部分(関節 )が浅いため、他の関節より外れやすい。

 脱臼した際に、肩関節にある前側の 靱帯じんたい が切れ、上腕骨の付け根(上腕骨頭)が受け皿からずれると、通常は自力で戻せない。

 脱臼の男女比は、20~30歳代で9対1と圧倒的に男性が多いとされる。野球のヘッドスライディングやラグビーのタックルなど、体に激しい衝撃が加わるスポーツでよく起きるためだ。

 一方、若い女性の中には、全身の靱帯が緩く、関節がずれて引っかかる「亜脱臼」になりやすい人がいる。ただ、気づかずに過ごしている人も多い。

 年齢層が61~80歳になると、男女比が1対3と逆転する。高齢者に目立つのは 腱板けんばん 断裂だ。

 転んで脱臼する場合、多くは肩関節を取り巻く「腱板」と呼ばれる筋肉の一部が、加齢で弾力性を失って断裂し、肩が外れやすくなる。痛みが出て腕が上がらなくなるなど、生活に支障を来すため、年間約3万人が手術を受けている。

  激痛やしびれも

 完全に脱臼すると、腕の筋肉や神経、血管が強く引っ張られ、激痛やしびれが走る。腕が動かなくなったり、痛みのあまり身動きできなくなったりもする。元の位置に戻した後も、捻挫をした時のような鈍い痛みがしばらく残る。

 脱臼の典型例は、靱帯が切れる「バンカート損傷」だ。外れた際の衝撃で上腕骨の軟骨と骨がえぐれる症状は「ヒルサックス損傷」、肩甲骨の受け皿が折れたり削れたりする場合は「骨性バンカート損傷」と診断される。

 脱臼は癖になりやすく、「反復性脱臼」と言う。バンザイしたり、服の袖に腕を通したりするだけで外れる人もいる。1度脱臼すると、10歳代の9割、20歳代の8割、30歳代の5割が反復性脱臼になるとされる。

  まず整形外科へ

 反復性脱臼を防ぐには、初めて肩が外れた時の治療が肝心だ。速やかに整形外科医を受診し、元の位置に戻してもらう。その上で、装具で腕を3週間固定し、損傷した靱帯や軟骨が自然に修復するのを待つ。

 繰り返し脱臼する人は、手術が視野に入る。代表的な「関節鏡視下バンカート修復術」は、肩に2、3か所の小さな穴を開け、挿入したカメラで見ながら、糸付きのビスを肩甲骨側に打ち込み、傷んだ靱帯を糸で固定する。

 手術は1時間程度。術後2~3週間は安静にする。スポーツを再開するには3~6か月ほどかかる。再発を防ぐために根気よく治療やリハビリに専念する。

 滋賀医大教授(整形外科)の今井晋二さんは「肩関節脱臼は、3回が手術を検討する目安。複雑な構造の中での手術になるため、執刀できる医師が限られる。主治医に相談し、経験豊富な専門医のもとで手術を受けてほしい」と話している。

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