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のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

患者会って何をしているところ?

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患者数の少ない「精巣がん」にも

 今日は、このカフェの扉を開けるのがずいぶんと遅くなってしまった。夕闇が広がる時間帯にもかかわらず、のぶさんのカフェはにぎやかだ。どうやら団体客がいるらしい。

 私は、いつものカウンター席に座り、ブレンドコーヒーを注文した後、のぶさんに話しかけてみた。

「今日は忙しそうですね?」

「そうなんですよ。精巣がんの仲間が来てくれて……」 

精巣腫瘍患者友の会 ウェブサイトより

精巣腫瘍患者友の会 ウェブサイトより

 のぶさんが、若いころに精巣がんの闘病経験があることは、以前に聞いたことがある。

 「病気の……、お友だち……?」

 のぶさんが言うには、がんをはじめとした患者数の多い病気だと、「患者会」という同じ病気を持った方が集まる会がたくさんあるらしい。

 精巣がんは、がんの中では患者数が少ない方だ。それでも、やはり患者会はあって、各地で集まりがあるので、患者同士がつながっているらしい。

病名、患者会で検索

 「ちなみに、検索で使ったキーワードは、『精巣がん』『患者会』」と、のぶさん。病名、患者会のキーワードで探すのがいいらしい。多く出てきたら地名や、治療法などで絞る手もある。

 熱いコーヒーを口にしながら、スマートフォンの検索サイトで調べてみた。

 なるほど。

 「患者会」ではなく「闘病記」として検索したら、ブログなどもヒットした。

患者同士の情報交換に加えて

 患者会って何をしているのだろう。ウェブサイトだけではどうもわからない。

 「会によっていろいろですよ。多くは、同じ病気を持った方が集まって、情報交換……まぁ、普通におしゃべり……する会が多いですよね。でも、集まらずにインターネット上だけで会合していたり、勉強会をしたり、時には制度を作るように働きかけていたりしている会などもあって……」

 のぶさんが言うには、多くの患者会があり、その活動内容は幅広そうだ。もちろん、このような集まりでは必ずしも正しい情報だけが流れているわけではないが、参考になる話題もあるという。特に、病院名や医師名を挙げて、具体的な内容を聞いてみることもでき、思わぬ参考意見が寄せられることもあるらしい。

 セカンドオピニオンに応じてくれる病院、治験を行っている病院、新しい治療法にチャレンジした体験談など、患者の本音が聴けるのはとてもありがたい。

コメントやメールでコンタクトしてみよう

 しかし、知り合いもいないのに、参加するにはちょっと勇気が必要だ。

「その一歩を踏み出すと、違った世界が広がるかもしれませんよ」

 のぶさんが、私の不安を感じ取って、背中を押してきた。

 インターネット上の患者会だと、匿名でも入ることができて、会員のやり取りをネット上で読むことができたり、相談を受けつけてくれたりする会もある。また、闘病記を公開しているケースであれば、こちらが勇気を出してメールを送ったりコメントを入れたりしてみると、気さくに返事をくれる方も少なくないらしい。

 いずれにしても、最初の一歩を踏み出す勇気次第のようだ。

 腰が痛いと言っていた母はあまりインターネットを使っていないから、代わりに私が探してみよう。これまで以上に、患者の本音の話がいろいろと探せそうな気がしてきた。

(鈴木信行 患医ねっと代表)

 下町と言われる街の裏路地に、昭和と令和がうまく調和した落ち着く小さなカフェ。そこは、コーヒーを片手に、 身体(からだ) を自分でメンテナンスする工夫やアイデアが得られる空間らしい。カフェの近所の会社に勤める49歳男性の私は、仕事の合間に立ち寄っては、オーナーの話に耳を傾けるのが、楽しみの一つになっている。

(※ このカフェは架空のものです)

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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