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Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登

医療・健康・介護のコラム

緑内障、正しく理解できたら怖くはないが…油断は大敵、早期受診と継続治療を

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緑内障、正しく理解できたら怖くはないが…油断は大敵、早期受診と継続治療を

 ここまで3回、緑内障を中心に取り上げてきました。

 名前は誰でも知っているが、意外と実態が知られていない「緑内障」への理解は深まったと思います。そうなれば、過剰な恐怖は勝手に去ってゆきます。

 でも、人間というのは他から脅かされると過剰に心配しますが、逆に大丈夫となると油断してしまう動物ではないでしょうか。

 例えば、健康保険のデータベースを利用しての、緑内障と診断された2799人の患者のその後について、こんな論文が山梨大医学部から発表されています。

 緑内障と診断され、点眼治療を始めて3か月後に治療を継続している方は73.2%、1年後には60.9%、3年後には52.5%にすぎないというのです。緑内障はゆっくり進行する病気なので、進行を遅らせる治療は一生続けなければいけないものです。ですから、3年で半分近くが脱落しているというのはゆゆしき事態です。

 おそらく、緑内障と診断された時は一応真剣になったものの、治療を始めても、ごくゆっくりとしか進行しないし、痛くもかゆくもないので、いつの間にか「大したことはない」と油断し、忙しさに紛れて、初めの「真剣さ」がだんだんと失われてゆく結果ではないでしょうか。

 これでは、緑内障をせっかく早期に発見しても意味のないことになるでしょう。

 日本緑内障学会の調べでも、緑内障が存在しているのに診断に至っていない人は、わかっている人の約10倍近くいるはずだとの推計がでています。

 これは、前回の「運転外来」の話でも触れましたように、開放 隅角(ぐうかく) 緑内障の初期には自覚症状がないことが主たる原因です。実際、人間ドックやほかの理由でたまたま眼科を受診したときに疑われたり、発見されたりするもののみが、診断治療の 俎上(そじょう) に載るという現実があるのです。

 つまり、見えにくさなど、自覚症状が出始めてから治療が始まるのでは遅すぎますし、自分の寿命よりも早い時期に視力や視野の異常に苦しめられる結末になる可能性があります。

 緑内障に限りませんが、それを疑われたり診断されたりしたら、もう自分自身のことなのですから、一般の人よりはずっと関心度を上げ、正しい知識を持って病気に対応してゆくべきではないかと思います。

 そうなれば、患者も医者も本気にならざるを得ませんし、上から目線ではない真の患者中心の医療が実現し、患者と医師の関係が高いレベルでよくなると思うのです。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある。

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