健康経営の人
医療・健康・介護のコラム
DeNA<上> 南場智子会長(54) 「夫の闘病、自身の休職で健康への意識高まる」
ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の南場智子会長(54)が、今年1月にCHO(最高健康責任者=Chief Health Officer)に就任した。創業者の会長自らが健康経営を推し進める背景には、「人材が強み」(南場会長)である企業にとって「経営」「健康」は切り離せないとの気づきがある。
――なぜ健康を重視し始めたのか。
「がんで手術を受けた夫の闘病生活を支えるため、2011年から2年間仕事を休んだ。この間に健康に対する意識が高まった。自分の場合は家族の病気だったが、働く本人が病気になり、たとえば40代でキャリアをあきらめた人も多い」
「一人でも多くの人に、より健康になってほしい。そういう気持ちから、仕事に復帰した後、ヘルスケア事業を始めた。ビジネスとして手がけるだけでは十分ではない。社内での健康増進が大切だ、との機運を高めた」
――具体的に何をしたのか。
「まずは実態を知らなければならない。社員を対象にアンケートを実施した。座って仕事をする時間が長いので、腰の不調を訴える声が多かった。もう一つは、睡眠。根を詰めてプログラミングをするためか、寝付きが悪いなどの問題を抱えている社員が多かった。腰痛対策のセミナーを開いたり、オフィスを快適に保つため温度や湿度、二酸化炭素の濃度を調べたり。できることからやっている」
――社員の意識は変化したか。
「関心がない人は関心がないままだが、押しつけない方がいい。おおらかに楽しくやろうという気持ちが大切だと思う」
――経営者が健康対策にかかわる意義は。
「意思決定をしている者が健康対策も担うことによって<経営><健康>という2つの重要な課題を同時に解決できる。経営で勝つためにはすばらしい人材を引き寄せなければ。その人材が健康を維持することが競争力の源になる」
(聞き手 鷲見一郎)
◇南場智子氏・略歴 1986年、津田塾大卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。90年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。96年、マッキンゼーでパートナーに就任。99年に同社を退社し、ディー・エヌ・エーを設立、代表取締役社長に就任。2011年に代表取締役社長を退任。取締役を経て、15年6月に取締役会長に(現任)。15年1月からは、プロ野球「横浜DeNAベイスターズ」のオーナーも務める。
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