今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
鼻呼吸促す「口テープ」の魔法 口の乾燥やいびき軽減
口呼吸が引き起こす“病巣疾患” 離れたところに症状
どうしてこんなことが起こるのでしょうか。中島さんの説明を聞いてみましょう。
「口呼吸になると、命の上流の 砦 となるワルダイエル 咽頭輪 というリンパ組織の中の 口蓋扁桃 が慢性炎症を起こし、体の離れたところに症状が出る“病巣疾患”が生じる結果、掌蹠膿疱症が出ることがあります。ネットにはいろいろな情報があふれていて、皮膚科では金属アレルギーといわれ、歯科金属を外したり、良いと言われる薬を試してみたりしてもなかなか治らない人も多いようです。当院で、口テープとあいうべ体操により、掌蹠膿疱症が改善した患者さんは、これで2人目です」
中島さんは続けます。「今回の患者さんも、ご主人に『見て見て! きれいになってきたよ』と手を見せていらっしゃるとのことで、あきらめずに繰り返し口テープをお勧めして、本当に良かったと思っています」
歯科医から見た口テープの重要性 出っ歯にも効果
中島さんに、歯科医から見た口テープの重要性を教えてもらいましょう。
「一番は、唾液が乾燥しないので、虫歯、歯石や 歯垢 の付着予防があり、治療がスムーズに進むということ。なんと、出っ歯(歯の傾斜)にも効果があります。さらには口内炎ができにくくなり、またできても早く良くなるケースが多いようです。医療機関の処方薬には唾液を出にくくさせてしまう副作用があるものが多いのですが、それらによる 口腔 乾燥症にも有効。また、軽度の睡眠時無呼吸症候群やいびき軽減の効果も見られます。もちろん口テープだけではなく、しっかりと表情筋や舌筋を鍛えるあいうべ体操も同時に行うことが大切です」
こんなに役立つことを教えてくれる歯科医院があれば心強いですね。
絆創膏を5センチ切って貼るだけ
口テープは簡単に作れます。幅1センチほどの外科用絆創膏(サージカルテープ)を5センチほど切り、唇の上下に軽く貼ります。たったこれだけで、魔法のテープとなります。市販の専用品を使用する場合は、その使用法に従って下さい。
口テープが文献に出てくるのは1930年頃と古く、就寝時の口呼吸防止に使われてきました。薬のない時代は、「病気にならない」ことに現代以上に気を払っていたのでしょうね。
朝起きにくい、カゼを引きやすい、日中眠気があるなんて人もぜひ試してみて下さい。寝ている間に上流医療を実践できるなんてお得ですね。
※口テープは5歳以上から。息苦しさを感じた場合はすぐにはがして下さい。テープ負けで、皮膚がかぶれるなどした時は使用を一時中止して下さい。
(今井一彰 「みらいクリニック」院長・内科医)
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