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介護の人材 質と量を同時に向上させるイノベーションとは…山田尋志・社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋理事長

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人手不足の介護に”助っ人”採用 活路は業務・人材の再編と大学教育にあり…山田尋志・リガーレ暮らしの架け橋理事長に聞く

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 介護保険が2000年4月にスタートしてから、まもなく20年。初年度は3.6兆円だった費用が18年度には3倍までふくれあがり、財政が厳しさを増す一方で、最大の課題とも言われているのが介護職員の不足です。重労働、低賃金のイメージが敬遠され、厚生労働省の推計では、25年度には34万人が足りなくなる見込みです。多くの事業者が人材の確保、育成に苦労する中で、京都府を中心に八つの社会福祉法人が集まり、研修や昇進・昇給体系の整備などを共同で行う取り組みが注目されています。グループ本部の社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋の山田尋志理事長に、これからの人材育成のあり方について考えを伺いました。(ヨミドクター 飯田祐子)

切れ目なく暮らしを支える介護を目指しグループ化

  ――社会福祉法人のグループ化に取り組んだきっかけは?

 家族や地域のつながりが希薄になってきたこの時代、年をとって介護が必要になっても、住み慣れた場所で暮らし続けられる「地域包括ケア」を実現するには、24時間、生活に寄り添う伴走型の支援が欠かせません。そこで、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人が集まる京都市老人福祉施設協議会で、04年度から 小規模多機能型居宅介護 を広げていくことを決めました。こうした地域密着型サービスを国が制度化する2年前のことです。

 このサービスは、大きな社会福祉法人を中心に順調に増えていったのですが、小規模な法人は、「日々の業務に追われ、新しいサービスの展開を担う人材も情報もない」というのです。だったらみんなで集まって助け合ってやっていこうと、10年3月に社会福祉法人グループ・リガーレを結成しました。

  ――人材育成の好事例として取り上げられることが多いので、当初は違う目的だったと聞くと、ちょっと意外です。

 ちょうどその頃から、人手不足が深刻化してきたのです。それまで、業界を挙げて人材の「質」の向上を目指してきたのに、次第に「量」をどう確保するかに関心が移っていきました。これに危機感を覚え、「人材育成」をグループの事業の柱に加えました。

 12年夏、地域密着型の小規模介護施設とグループ本部の機能を併せ持つ「きたおおじ」を京都市内にオープンした際には、認知症認定看護師ら2人を人材開発の専従職員として配置。「スーパーバイザー」として、グループ内の施設を巡回して現場の職員と一緒にケアやマネジメントの改善に取り組むほか、各法人から職員を集めて行う統一研修などの活動を始めました。

  ――確かに、介護の仕事を辞めた人の調査では、賃金よりも職場の人間関係を退職理由に挙げる人が多いというデータがありますね。充実した研修が、職員の定着に有効ともいわれています。

 賃金についても、グループ化のメリットは大きいと考えています。モデルとなる給与体系とキャリアパスを作り、グループ内の全法人の移行を目指しています。17年からは、職員の共同募集を開始、19年には人材確保の専従職員を配置して本格化しました。法人間の人事交流も試行しており、職員が様々なキャリアを積む機会を広げることを目指しています。

 <小規模多機能型居宅介護> 高齢者のその日の状態に応じて柔軟に、通い(デイサービス)、泊まり(ショートステイ)、職員による訪問(ホームヘルプ)を一体的に提供する。定額の利用料で24時間365日の支援を行い、「地域包括ケアの切り札」とも呼ばれている。

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