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成長期のスポーツ(6)腰椎分離症 コルセットで負担減
成長期のスポーツでは、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(66)に聞きます。(聞き手・西原和紀)
朝、靴下をはこうと前かがみになると腰に痛みが走る。腰を反らすと、さらにつらい。そんな痛みが長引いていたら「腰椎分離症」の可能性があります。
疲労骨折の一種で、中学生ぐらいのスポーツ選手にしばしば見られます。腰椎の後ろの部分にひびが入り、進行すると骨のずれが生じることもあります。
以前は先天的な異常と考えられていましたが、骨が未発達な成長期にスポーツで腰をひねったり、体を後ろに反らしたりする動作を繰り返すことで発症します。バレーボールのスパイクやサッカーのヘディングなど、いろいろな原因がありますね。
スポーツによる腰痛の多くは筋肉痛ですが、こうした病気が隠れているケースもあるので要注意です。無理をしてスポーツを続け、悪化させることがないようにしてください。
また、腰の痛みに加えて脚にしびれがあったり、力が入らなかったりしたら「腰椎椎間板ヘルニア」かもしれません。
椎間板は腰椎など背骨同士をつなぐ軟骨で、クッションの役割がありますが、損傷して中の組織が後ろに飛び出すと、足へつながる神経を圧迫して痛みが生じます。しかし、慌てて手術する必要はありません。多くのケースでは、症状が自然に消えるからです。
腰椎分離症とヘルニアは、ともに腰の動きを制限するコルセットをつけ、負担をかけないようにするのが治療の基本ですが、まず正しい診断を受けるため整形外科医を受診しましょう。成長期なので薬の服用はできるだけ避けた方がいいでしょう。予防には、腹筋や背筋を鍛えることが重要です。
【略歴】
松本秀男(まつもと・ひでお)
整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。
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