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気象予報士ママの「健康注意報」 新見千雅

医療・健康・介護のコラム

乾燥肌に注意 保湿ケアをしましょう…乳児はなるべく早い段階から、かしこく保湿するコツは!?

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肌が乾燥して荒れやすい季節

乾燥肌に注意 保湿ケアをしましょう…乳児はなるべく早い段階から、かしこく保湿するコツは!?

子どもの肌を保湿することは、肌のバリア機能を守る他に、親子のスキンシップにもなるというメリットがあります(提供・日本気象協会)

 この季節は、肌がカサカサになりやすく、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 うちの子どもたちも、夜中に「かゆいよー」と起きてきたり、寝ている間に無意識にかきむしって、傷になってしまうことがあります。

 また、幼稚園から帰ってきた子どもの手の甲が赤くなっていることがあります。手を洗った後の行動をよく見ていると、ハンカチで水を拭き取っているのは手のひらだけで、手の甲はぬれたままになっていることがあるので、おそらく水分が蒸発するときに肌の水分も奪われるのでしょう。我が家では、手の甲も上手に拭けるように、家で時々練習しています。

 肌には本来、外からの刺激を防ぐバリア機能があるのですが、乾燥すると、いろいろな肌トラブルが起きやすくなってしまいます。

 この時期に肌が乾燥しやすい大きな二つの理由は、気温の低下と、空気の乾燥です。

 私たちの身体は、気温の低い時は 末梢(まっしょう) の血管を収縮させて、熱を逃がしにくくしています。そうすると肌の血流は低下するので、乾燥しやすくなります。

 また、空気が乾燥すると、肌から水分が奪われて乾燥肌になりやすいですね。

 特に太平洋側は、空気が乾燥しやすいです。この時期の相対湿度は太平洋側では50~60%前後、日本海側では60~70%となる所が多く、太平洋側の方が、日本海側よりも相対湿度が低いことがうかがえます。西高東低の冬型の気圧配置では、シベリア大陸からの冷たい北よりの風が吹きこみます。この風が日本海を渡るときに海からの水蒸気を吸収し、湿った空気となるため、日本海側では空気の乾燥は和らぐことが多くなります。湿った空気は山脈を越える前に、雪や雨を降らして乾燥します。空気中に含まれる水蒸気の量に変化がなくても、山脈を越え、高度が下がるにつれて、空気の温度が上がるため、相対湿度が下がります。結果、より一層乾燥した空気となって、太平洋側に流れ込みます。

 気温が低い時は、暖房をつけないで過ごすわけにはいかないので、室内の相対湿度も下がりがちです。最近は加湿機能の付いたものもあるようですが、エアコンを利用して部屋を暖めている方は、加湿器も同時に利用する方がよいでしょう。室内での快適な相対湿度の目安は50%前後です。

 また、春にむけては次第に西高東低の気圧配置が緩んで、日中の寒さが和らぐことが増えますが、寒暖差が大きくなると、肌の水分と油分のバランスが崩れやすくなります。冬の間の寒さと乾燥で肌の潤いが低下しているところへ、寒暖差という更なるストレスがかかり、肌荒れしやすくなってしまいます。

 冬から春へと移り変わる季節はとくに、肌のバリア機能を保つために、乾燥を防ぐことが大切です。

肌のバリア機能とは

 肌のバリア機能は、肌表面にある「皮脂膜」と「角質層」にあり、大きく三つの因子があります。

〈1〉皮脂膜
 肌の表面を覆い、水分と油分のバランスを保ち、水分の蒸発を防いでいます。スクワランが含まれています。

〈2〉角質層の細胞の中にある水となじみやすい天然保湿因子
 主にアミノ酸や尿素が含まれています。

〈3〉角質層の細胞をつなぐ細胞間脂質
 セラミドが含まれています。

 特に、乳幼児の肌は大人の肌より乾燥しやすくなります。

 皮脂の分泌は生後3か月頃までは母親のホルモンの影響が残っていて盛んですが、その時期を過ぎると少なくなり、皮脂膜が大人に比べて薄いため分泌が十分ではありません。

 また、角質層の細胞がまだ発達の途中なので、肌の水分が失われやすくなります。

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気象予報士ママの「健康注意報」

新見 千雅(にいみ ちか)
日本気象協会 気象予報士

 呼吸器、透析分野で看護師として勤務した後、気象会社で原稿の作成やラジオ番組を担当。現在は、日本気象協会と株式会社JMDCが進めている、気象データとレセプト(医療報酬の明細書)データを使って、様々な疾患の発症・重症化リスクに関する情報を提供するサービス「Health Weather(R)(ヘルスウェザー)」プロジェクトに参加している。
 2児の母として、妊娠・出産・育児にまつわる天気のコラムを執筆中。


鈴木 孝太(すずき こうた)
愛知医科大学医学部 衛生学講座 教授

 1974年、東京都生まれ。2000年、山梨医科大学医学部卒。2005年、山梨医科大学大学院医学研究科修了(博士(医学))。2011年 、University of Sydney Master of Public Health (MPH) Coursework修了。山梨大学医学部助手、助教、特任准教授、准教授を経て、2016年から現職。専門分野は周産期から小児期にかけての疫学、産業保健、ヘルスプロモーション。
 最近は、「Health Weather(R)」と共同で、気象と健康に関する研究を実施している。



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