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「患者数を想定できず」「テレビで情報を知った」 クルーズ船の患者受け入れ病院の苦悩

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患者の受け入れ要請もバラバラに

「患者数を想定できず」「テレビで情報を知った」 クルーズ船の患者受け入れ病院の苦悩

全国公私病院連盟の記者会見で話す石原淳・横浜市立市民病院院長(中央、2月19日・東京都内で)

 「どれくらい患者が増えるのか、全く想定できないなかで、患者を受け入れざるを得なかった」「医療機関に伝わる情報がテレビの情報よりも遅く、テレビを見ながら知るという状況だった」――。横浜港で停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で発生した、新型コロナウイルス感染患者の受け入れ先のひとつとなっている横浜市立市民病院(横浜市保土ヶ谷区)の石原淳院長は2月19日、副会長を務める全国公私病院連盟の定例記者会見で、患者の受け入れをめぐる当初の混乱ぶりを語るとともに、最前線で診療にあたる医療機関に迅速に情報が伝えられるよう強く訴えた。

 石原院長によると、同病院は神奈川県で唯一のエボラウイルスなどにも対応する第一種感染症の指定医療機関で、かつ第二種の指定医療機関でもあることから、クルーズ船での患者の発生に備えて、病院職員も患者が運ばれてくることを想定して構えていたという。

 石原院長は「市中でじわじわ増えた感染症であるとか、インフルエンザの重症化といった通常の対応と異なり、今回は、そもそも患者さんの総数がどうなるのかとか、全く想定できないなかで、受け入れざるを得なかった」と、難しい対応を強いられた状況を説明した。「きょう(5日)どれくらい患者が増えるのか、あすあさってと、どう動いていくのか、全く想定できなかった。最初の患者さんをすべて受け入れて病床をいっぱいにしてもいいのかということを含め、情報がなく、非常に苦しい状況だった」と振り返った。

 クルーズ船の中の様子が分からないうえ、患者の搬送をめぐって情報が交錯することもあったという。患者の受け入れ要請が一本化されておらず、県や市から来ることもあれば、クルーズ船内の医師から直接、病院に連絡が来ることもあった。「元から船にいる医師なのか、後から入った医師がだれで何人いるのかといったことが、いまだに分からない」と石原院長は話す。

 患者・感染者が増え、各地の病院から災害派遣医療チーム(DMAT)が集まってきている様子をテレビで見ていたが、患者を救急車に乗せたDMATからも、個別に受け入れ要請の連絡がきたこともあった。指揮命令系統が十分できていないと感じたという。申し入れを行った結果、現在では改善されつつあるとしている。

東京五輪に備え 情報の伝達など態勢の検討を

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「ダイヤモンド・プリンセス」の前に並ぶ救急車(2月11日)

 クルーズ船の乗客には外国人も多く、高齢で持病がある人も多かった。夫婦でも一人は検査で陽性で一人は陰性だったり、検査で二人とも陽性でも一人は重症で一人は全く元気だったりするため、「どういう形で受け入れるべきか、通常の感染症とはかなり違った」と話す。また、他の医療機関の状況の情報共有が不足している点も対応を難しくさせたと指摘した。

 「どれだけの人に検査が行われているのかなどの情報が少し前に分かれば、備えもできる。必要な情報について、必要な医療機関に迅速に通報していただきたい」と石原さん。やむを得なかった面もあり、だれかを非難する気持ちはさらさらないとしつつ、「これから東京オリンピックなども控えて、今回の事態を早急に検証し、今後に備えていく必要がある」と強く訴えた。

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