街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
「障害」の原因はどこにある?…駅のホームで考えた
ヨミドクターをご覧のみなさま、サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。今回は、障害のある人が駅のホームや列車内で困ることは何なのか、またその原因はどこにあるのかを一緒に考えていきましょう。
「多数派」に合わせた仕組みやルールが
例えば、車いす使用者が駅を使用する際は、「通常の改札より幅の広い改札を選んで通らなければならない」「券売機のボタンの位置が高く使用しにくい」「ホームまで行くのにエレベーターが必要である」「ホームと電車の間に隙間や段差があるため、一人では乗降しにくい」「多機能トイレの数や場所が限られている」などがあります。
これらの困りごとと障害の関係については、二つのとらえ方があります。「困りごとがあるのは、その人が歩けないからだ」というふうに、心身機能の制約が原因ととらえる考え方を「障害の個人(医学)モデル」と言います。それに対し、「健常者など『多数派』に合わせて作られている社会の仕組みやあり方が、障害のある人にとっては障壁(バリア)となっているのだ」と考えるのが、「障害の社会モデル」です。つまり、駅や電車が、歩いて使うことを前提に作られているため、車いすの人には使いにくくなっている、というわけです。
どちらの考え方であっても、障害のある人にとって困難が存在することに変わりはありません。しかし、障害の社会モデルの視点で考えれば、原因は社会の側にあることから、状況を改善すべきなのは、本人ではなく社会の方であり、「障害のある人に配慮することは社会の責務である」と言うことができます。
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