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ASEAN、災害医療で連携…トリアージなど共通課程を日本が指導

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ASEAN、災害医療で連携…トリアージなど共通課程を日本が指導

昨年11月にインドネシア・バリ島で行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と日本の災害医療チームによる合同訓練(JICAタイ事務所提供)

 【バンコク=田原徳容】東南アジア諸国連合(ASEAN)が、大災害時の国際的な医療協力を円滑に行うため、医師や看護師などが災害医療を学ぶ基礎カリキュラムの策定作業を進めている。災害対応の経験が豊富な日本の指導を受けて年内に完成させ、早ければ2021年から各国共通の教育をスタートさせる。自然災害が多い日本とASEANの相互支援強化にもつながる取り組みとなる。

■一人でも多く救う

 ASEAN各国の保健省関係者や日本の国際協力機構(JICA)などが1月下旬、タイ・バンコクで会合を開き、カリキュラム策定に向けた工程を大筋でまとめた。

 ASEANや日本の複数の政府関係者によると、カリキュラムは、治療の優先度を選別するトリアージや、通信状況が悪い中での移動や野営治療を巡る判断などを習得する内容などからなる。平時の医療技術の向上よりも、満足な医療設備や時間がないなかで、いかに一人でも多くの人命を救うかという点に主眼に置いたものだ。

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■各国で対応に差

 04年のインド洋大津波を機にASEAN各国では、国内外に出動する災害医療チームが設立されたものの、その後も頻発する台風などの大規模災害で、十分な協力ができなかった。背景には、各国の災害医療従事者の知識や技量に差があり、対応がまちまちだという課題がある。

 ルーベンカトリック大学災害疫学研究所(ベルギー)の調査によると、大津波が起きた04年から19年の16年間で、自然災害による犠牲者数は、調査対象の211か国・地域のうち14か国で1万人を超えた。このうち、10か国が日本を含むアジアに集中している。インド洋大津波の最大の被災国で、その後も地震や津波が多発するインドネシアが、18万6311人とアジア最多だ。

■合同訓練も

 安倍首相は13年の日ASEAN首脳会議で、人命救助につながる災害医療の連携体制構築への協力実施を表明した。16年からは、JICA主導の「ASEAN災害医療連携強化(ARCH)プロジェクト」を本格化させ、各国による合同訓練を開始した。昨年は11月にインドネシア・バリ島で火山噴火を想定して行った。今年はミャンマー・マンダレーで実施する。

 共通の基礎カリキュラムに基づく災害医療の教育が進めば、各国間の連携がさらに強化されると期待されている。ARCHプロジェクトのチーフアドバイザーを務める池田修一氏は、「災害が多いアジアでカリキュラムによる災害医療の手順が共有されれば、現場の作業がスムーズになり、犠牲者を減らせる」と話している。

◇トリアージ◇ 「選別」を意味するフランス語。災害や事故が発生した際、多数の負傷者を効率的に搬送・治療するため、重症度や緊急度に応じて4色のタグを付け、優先順位を決める作業を指す。2005年のJR福知山線脱線事故などで行われた。

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