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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

ぴあサポぐんまと「地域がんサロン」

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 がんと診断された時、再発転移を告げられた時は、誰もが大きな不安や戸惑いを感じます。がんの治療に入ると、手術による痛みや抗がん剤の副作用に悩まされます。しかし、そのつらさや不安を、誰にも告げられない方も多くいます。私たちが活動する群馬県内は、がん診療連携拠点病院に「院内サロン」がありますが、平日に開催されていて、仕事を持つ患者や家族、県外で治療している患者は参加しにくいのが実情です。そこで、ぴあサポぐんまは県内5か所で、「地域がんサロン」を、日曜日を中心に開催しています。

高崎市内で開かれた地域がんサロンの様子。がん患者やその家族が集まり、悩みや不安などを語り合った(2019年1月)

高崎市内で開かれた地域がんサロンの様子。がん患者やその家族が集まり、悩みや不安などを語り合った(2019年1月)

群馬県内5か所で「地域がんサロン」を開催

 「ぴあサポぐんま」は、群馬県保健予防課がん対策推進室が実施した「群馬県がんピアサポーター養成研修会」修了者40人によって、2013年7月に設立された任意団体です。がん経験者やその家族が、新たにがんと診断された患者らの悩みを聞き、体験を共有して支えることを「ピアサポート」と言い、それを行う人を「ピアサポーター」と言います。ピアサポーターになるための基礎知識を学ぶのが、「養成研修会」です。

 患者や家族が悩みを打ち明けることができる場「地域がんサロン」は、2014年、ぴあサポぐんまの有志20人によって立ち上げられました。現在、高崎市2か所(末広町と新町)、前橋市、太田市、富岡市の5か所で、毎月1回、日曜日(新町は火曜日)に開催しています。合計で年間約1000人の方が集まるサロンとなりました。がんピアサポーターのほかに、ボランティアの医師や看護師、看護学生ら、たくさんの賛同者を得て発展してきています。

 「がんの悩みや不安、一人で抱えず話してみませんか。誰かに話すと、きっとココロが軽くなるから」。この言葉が会のモットーです。

季節の花と茶菓でおもてなし

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会場に飾られたひまわりとコスモス。がん患者とスタッフが持ってきてくれた

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季節の花と茶菓でおもてなし。心ばかりのお菓子に季節のイラスト(宝船)を添えて

 私たちは設立当初、「がんという病気に傷つき、不安な気持ちのがん患者さんの心をいやすには何をすればよいか」を話し合いました。その結果、「季節の花と茶菓でおもてなし」というコンセプトを考えました。

 地域がんサロンの会場となる殺風景な会議室を、それぞれの家から持ち寄った季節の花々で飾りました。会場の真ん中に大きく生けた花々、机上には草花。サロン終了後、「楽しかったサロンの思い出に」とお花を持ち帰られます。また、お茶と少しばかりのお菓子で「温かい空間」を作っています。

 サロンには、再発したり、転移したり、病気が進行した「ステージIV」と診断されたり、と様々な患者が参加されます。初めてサロンに来られた時には、暗い表情の方ばかりです。しかし、がん患者同志が 忌憚(きたん) なく話をし、お互いの心に寄り添うことで、サロン終了時には、明るい表情で帰って行かれます。また、次に来られた時には、初めて来られた患者さんやご家族にしっかり寄り添ってくださいます。

スキルアップ研修と講演会も開催

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高崎市で開かれたゲノム医療についての講演会。多くのがん患者と医療関係者が参加した(2019年9月)

 もう一つの柱として力を入れているのが、ピアサポーターのスキルアップと、がん患者やご家族に正しい情報を届けるための研修会や講演会の開催です。設立当初から群馬県内や東京都内の病院、大学から専門家をお招きして年2~3回ほど開いています。

 正力厚生会の助成金を元に2017年、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之氏を招いて、「患者のための医療とは、より良いがん治療とは~がんとうまく付き合っていくために~」をテーマとした講演会を開催しました。

 「あわてず、あせらず、あきらめず」「患者会など良い味方を見つけて正しい情報を得る」という姿勢の大切さを教えていただきました。また、「緩和医療は終末期だけの医療ではないこと」についても語っていただきました。その後の質疑応答では50近い質問が出され、正しいがん情報を欲している群馬県のがん患者の状況を実感しました。

 2019年には、「がんのゲノム医療とは、先進医療とは~患者とともに考えるがん医療新時代~」という講演会を開催しました。第1部では、国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科の下井辰徳医師が「患者がゲノム医療にたどり着くには」をテーマに講演。第2部では、NPO法人「がんノート」代表の岸田徹氏と下井医師のトークセッションが行われました。

 会場には多くのがん患者とがん拠点病院の看護師らが集まり、患者さんからは「大変分かりやすかった」「再発したばかりの私にはタイムリーな内容でした」との感想が寄せられ、大好評でした。講演後のサロンには、「ゲノム医療を受けることにしました」と話すた方が次々に現れ、反響の大きさを感じるとともに、「患者の立場で正しいがん情報を提供することの必要性」を痛感させられました。

 今後も、地域のがん患者やその家族の心に寄り添う活動と、がん患者の目線から正しい情報を発信する活動を続けていきたいと思います。

ぴあサポぐんま

 2013年7月に設立された任意団体で、2020年2月現在、会員数は65人。同じがん患者やその家族として寄り添い、少しでも心が軽くなればとの思いで、がん拠点病院の院内サロンや地域がんサロンのピアサポーターとして活動する。地域がんサロンは、30人のピアサポーターのほか、医師や看護師、看護学生のボランティアも参加して、群馬県内5か所で開催している。

 ぴあサポぐんまは無償のボランティア活動で運営しており、会費や各種助成金を主な収入源として、地域がんサロンの活動や、年に2~3回のスキルアップ研修会などの経費を賄っている。

 ホームページ  http://piasapo.gunma.jp/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

【助成団体募集】10月2日まで来年度の助成申請を受け付け中です。

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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