文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」

医療・健康・介護のコラム

「いい先生」とは… 患者に優しい? 手術がうまい? スタッフ受けがいい?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

トイレの扉の内と外で異なる体感時間

id=20200214-027-OYTEI50010,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 私が学生の頃、「マーフィーの法則」という本がベストセラーになりました。「トーストを落とすと、必ずバターが塗ってある方が下」「洗車をした後に限って雨が降る」というのがよく紹介されていました。妙に皮肉っぽいのが多かったので覚えていらっしゃる方も多いと思います。

 その中で、私が特に覚えているものに「トイレの扉の内側と外側では体感時間が異なる」というものがありました(本の記載通りではありませんが、内容はこんな感じ)。用を足したくてトイレの扉の前で「まだかなあ」「早く出てきてくれ」と思いながら順番を待っている人と、扉の内側に入っている人では、同じ1分でも感じ方が全然違うという例です。遊園地のアトラクションで1時間待ちの時の5分間と、アトラクションを楽しんでいる時の5分間では、どう考えても待っている時の方が長く感じますよね。

短い診察でも対応次第でどうにか…なる?

 これ、我々の外来診察室に当てはめても、全く同じことだなあと思っています。実際、長時間お待たせしながらも、診察時間はそこまで長くはできません。ですが、苦情や不満の少ないクリニックの先生は、その短い診察時間の中でも「患者さんの気分を害さない」「急ぎながらもそう感じさせない」ことがとても上手なのだと思います。同じ3分間の診察時間であっても「無愛想でロクな説明もなく、さっさと流された。まあ混んでいるから仕方ねえけどな」と言われるのと、「混んでいるので診察時間は短いですが、決して無駄がなく、テキパキとした対応で非常に好感が持てました」と言われるのでは明らかに違います。

 では、自分自身はどうだろう?と考えると……どうなんでしょう。もちろん「さっさと流す」ような診察をしているつもりは毛頭ありませんが、無駄話も決して少なくはないので、残念ながら「テキパキとした対応」ではないのかもしれません(涙)。混んでいるときはテキパキと、混んでいないときにはより丁寧にできればと、今回のコラムを書きながら、改めてそう思いました。まずは、できることから。トーストにバターを塗ったときは、落下させないことから始めたいと思います(笑)。(遠藤幸紀 皮膚科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

20190219-kendo-prof200

遠藤 幸紀(えんどう・こうき)
皮膚科医。東京慈恵会医科大学皮膚科講師。乾癬かんせんという皮膚疾患の治療を専門とし、全国の乾癬患者会のサポートを積極的に行っている。雑学やクイズに興味があり、テレビ朝日「Qさま!!」の出場歴も。

Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」の一覧を見る

1件 のコメント

コメントを書く

誰にとっての良い先生が長く評価されるか?

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

普通の患者さんは都合の良いお医者さん、相性のいいお医者さん、話を合わせてくれるお医者さんが好きですよね。 よく話し相手になってくれる人がかかりつ...

普通の患者さんは都合の良いお医者さん、相性のいいお医者さん、話を合わせてくれるお医者さんが好きですよね。
よく話し相手になってくれる人がかかりつけ医としては繁盛するでしょう。
一方で、救急車に乗って行った先の先生が検査や投薬もせずに世間話に時間を多く使っていたら、怒られるのではないでしょうか?

もっとも、プロの仕事の質の評価はプロ同士でも難しい部分はありますし、評価するのは同僚や上司のケースも多く難しいです。
そして人間社会である以上、仕事の巧拙だけでなく、人間の好き嫌いが必ず絡みます。
だからこそ、テストやレポートが忙しくても、医学生にはバイトや部活が推奨されますね。
プロの中のプロと一般人の中での立ち位置、職場での立ち位置なんかの練習になります。

患者に直接接することの少ない放射線科時代でも、上司、同僚、他院の先生など、様々な評価の基軸があったこと思い出します。
後医は名医と言いますが、それだけでない部分も含めて、真正直にフィルムから見える正解を口にしたり、レポートに書くのが正しいわけでもありません。
医療はワークフローの上流から下流までのチームプレーなので、それぞれの理解や感情を勘案しない答えは攻撃的に映る場合もありますし、正解さえ人を幸福にしない可能性もあります。
そういう絶対解に近いものの価値は、機械のないエリアでは評価もされづらく、認めてくれる人も少ないので立場も難しいものがあります。
医療の標準化における画像診断の破壊力は大きいですが、良い先生をサポートするチームの中にひたすらに病変を科学する放射線科医と病理医は重要になると思います。
その情報の、評価や処理の運用をどうするかが、科学と感情を両立させる医療なので。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事