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「続・健康になりたきゃ武道を習え!」

エクササイズ・健康・ダイエット

なぜ極真空手を始めたか……赤石誠さんの場合

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別の武道やスポーツを経験する効用

 以下、やや専門的な話になって恐縮だが、ボクシングではグラブをはめた拳で顔を殴っていい。しかし、極真空手のフルコンタクトルール(直接打撃制)では、顔や頭を足で蹴るのはOKでも、手で顔面を攻撃するのは反則だ。つまり、パンチは胴体のみに許される。このため、ボクシングの「打ち抜く」ようなパンチは極真ルールではあまり効かず、相手の胴体の中に衝撃を「残す」ように打つのだという。構えも違う。ボクシングでは前の足(オーソドックスな構えでは左足)をやや内側に向けるが、極真空手の場合、その構えだと相手の外側からのローキック(下段回し蹴り)に弱くなってしまうため、前の足は原則、正面に向ける。

 このように、自分がやっている武道やスポーツとは異なる武道やスポーツを経験することには意味がある、と筆者(山口)は考えている。仮に前者をA、後者をBとすると、Bの技術そのものをAに取り入れて役に立つこともあるし、Bとの技術の違いを頭と体で認識できることで、今やっているAの技術の意味がよりはっきりと理解できることもあるからだ。

 もちろん、何年も続けないと本質が見えないことはあり、「少し経験して表面をなぞっただけでは何も分からない」という主張もあるだろう。それでも、違う分野の技術を少しだけでも経験すれば、きっと何か新鮮な「気づき」が得られるはずだ。これはおそらく、自分の専門外の仕事を経験してもそうだし、仕事と趣味の関係でも同様のことは言えるのではないだろうか。

高校生になると茶髪、アルバイト、ゲームセンターの日々

 さて、赤石さんは中3になってボクシングをやめてからは、特に格闘技やスポーツはやらなかった。やんちゃで、けんかは度々やっていたが、高校生になると、やんちゃは「卒業」。当時のはやりの茶髪で学校に通い、アルバイトをしながら、ガールフレンドと遊んだり、友達とゲームセンターで過ごしたり。これと言って打ち込むものはなかった。

17歳のころ。ちょっとジャニーズっぽい(赤石さん提供)

17歳のころ。ちょっとジャニーズっぽい(赤石さん提供)

 一方、プロレス界では1980年代以降、ショー的な要素を廃して格闘技の要素が強いUWF、リングスなどの団体が登場しており、赤石さんの興味もそちらへと移っていった。1993年には、立ち技格闘技の最強を決めるイベント「K-1」が登場し、最初にアンディ・フグ、次にフランシスコ・フィリォら極真空手出身の選手が活躍した。赤石さんの目には、彼らは他の選手と違って映った。強いだけではない。試合に勝利した時も派手なガッツポーズは取らなかった。「武道の精神性が感じられる立ち居振る舞いに、空手ってかっこいい、って思ったんです」と赤石さん。

池袋で因縁つけられ袋だたき 父「極真で鍛え直せ」

 高校2年生になった1998年の春。赤石さんをショックな出来事が襲った。胃がんの治療を受けていた母親が5月上旬、亡くなったのだ。そして、悲しみも癒えない数日後、池袋で高校生ぐらいの若者たち10人ほどに因縁をつけられ、囲まれてボコボコにされた。顔に傷が付き、病院で縫うほどだった。

 その姿を見た父親から、こんなことを言われた。

 「お前はふらふらしているし、どうしようもないから、池袋の極真に入って鍛え直してもらえ!」

 当時住んでいた自宅から自転車をこいで10分ほどの場所に、池袋の極真空手本部道場があった。

 赤石さんの心は決まった。

 「極真空手をやる!」

(山口博弥 読売新聞編集委員)

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社編集委員

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社、岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長、医療部長を経て、2018年6月から編集委員。同年9月から1年間、解説部長も兼務。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、慢性疼痛、医療事故、高齢者の健康法、マインドフルネスなどを取材。趣味は武道と映画観賞。白髪が増えて老眼も進行したが、いまだにブルース・リーを目指している。

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