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職場の電話が鳴ると胸が苦しく…若者に広がる「固定電話恐怖症」って?

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 電話を取るのは若手の仕事――という職場は、今でも多いのではないだろうか。しかし今、若い社員の間に「固定電話恐怖症」なるものが広がっているという。心身の不調から、就業が難しくなるケースまで。上司や先輩には、どんな配慮が求められているのだろうか。(梅崎正直 ヨミドクター編集長)

相手にイライラされたり、厳しい口調で言われると

 一人の若い男性社員が、会社の相談室を訪れた。入社2年目で、総務部門で働いている。職場にかかってきた電話を取るのは、一番若い彼の仕事だったが、「最近は、電話の音が鳴るだけで 動悸(どうき) がして、胸が苦しくなり、手に汗をかくようになりました」と言う。電話が怖くなり、それを考えると会社に行くのも苦痛になってきたそうだ。

 社歴が浅く、大きな職場で、全員の顔と名前が一致していないし、その仕事内容にも疎い。電話で要件を言われても、誰に取り次いでいいかがわからない。相手がゆっくり待ってくれるといいのだが、イライラされたり、厳しい口調でプレッシャーをかけられたりすると、パニックになってしまう。人知れず悩んでいるうちに、2度もミスをしてしまった。名前を間違えたり、電話をつなぐ先を間違えたり、といった 些細(ささい) なことだが、本人はひどく傷つき、落ち込んでいるようだった。

スマホのコミュニケーションが主体の世代

職場の電話が鳴ると胸が苦しく…若者に広がる「固定電話恐怖症」って?

夏目さん

 この会社の産業医で、ヨミドクター連載も執筆している夏目誠さんは、「こうした相談は、上司からの間接的なものをふくめて、いくつか受けています。ほとんどが男性で、女性にはあまり見られない印象です」と言う。

 また、こうした問題が起きている背景には、「子どものころから携帯、スマホでのコミュニケーションが主体だった世代で、親しいもの同士の会話やLINEのやり取りには親しんでいるけれど、誰からかかってくるかわからない固定電話に慣れていないことがある」と見ている。そして、ちょっとしたミスをきっかけに、ストレスが過剰になり、電話に出ることが怖くなってしまうのだという。

 夏目さんは、この若手社員を恐怖症性不安障害と診断し、抗不安薬を処方するとともに、会社を2週間休ませるよう両親に伝えた。上司には、復帰後2か月は電話を取らせず、その間に、職場の人や仕事内容について丁寧にレクチャーするよう頼んだ。

 ネット調査の結果によると、会社の固定電話に出るのが嫌だ・ストレスだと感じる割合は若いほど高く、20~34歳では7割。電話対応が原因で仕事が嫌になったことがある人も半数程度いた(株式会社シンカ調べ)。夏目さんは「若手社員の何人かに一人は、電話対応に強いストレスを感じていると考えていいのではないか」と話す。

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