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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

日本が「がん大国」になった本当の理由

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急ピッチの増加に、国民も行政も追いつかず

 がん細胞は、もともと私たちの正常な細胞から発生していますので、免疫細胞にとって「異物」と認識しにくい傾向がありますし、年齢とともに「免疫力」も衰えていきます。年齢とともに遺伝子に突然変異が積み重なって、がん細胞の発生が増え、その一方で、免疫細胞の働きは衰えるのです。がんとは一種の「老化」であり、日本人が長生きになったことが、わが国でがんが急増する理由なのです。そして、日本に特徴的なことは、高齢化が史上空前のスピードで進んだことです。

 現在、65歳以上の高齢者が、人口全体に占める割合は約28%とダントツの世界一。高齢化のスピードも、歴史上、最も速いペースです。簡単に言えば、欧米社会では50~100年くらいかかった高齢化が、わが国では20~30年で起きているのです。その結果、がん患者の増加も例を見ないスピードとなりました。この急ピッチのがんの増加に、個人の知識や心がまえ、さらには行政、教育などが追いついていないのが、今の日本の姿だと言えるでしょう。

ぜひ「オトナのがん教育」を

 全国の小・中・高校で「がん教育」が始まっています。あと30年もすれば、日本でのがんによる死亡は、減少に転じるはずです。しかし、オトナはもう学校に行けません。がんという病気は、わずかな知識があるかどうかで運命が分かれる病気ですから、これでは、世代間の不公平につながります。「オトナのがん教育」はぜひ、この連載で受けてください!(中川恵一 放射線科医)

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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