くも膜下出血
シリーズ
高次脳機能障害(1)交通事故 頭強打し後遺症
友人とスキー場に向かっていた。2012年2月、大学4年生だった加藤貴之さん(31)らが乗った車は、岩手県北上市の高速道路で大型トラックに追突され、大破した。後部座席の加藤さんは前方に投げ出され、頭を強く打った。近くの病院に運ばれたが、意識不明の重体だった。
「意識が戻る可能性は、ほぼないでしょう」
東京から駆けつけた両親に、医師の言葉が非情に響いた。脳挫傷、くも膜下出血、びまん性軸索損傷などの診断名。体に目立った傷はないが、呼びかけても返事はない。目も開けない。ピクリとさえ動かない。数日がヤマ場だと言われた。
幸い心肺機能は安定し、命の危機は脱したが、母のえりかさん(61)は、重すぎる現実に押しつぶされそうだった。いったん実家に戻って心身を休めていたところ、看病していた親戚からメールが届いた。
「問いかけに反応が見られたそうです。希望が見えた気がします」
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