常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
子育て中の同僚のフォローで疲れ果てたシングル女性 上司も頼りにならず…幸せの鍵は?
「会社に行けない」……。泣きながらMさんは訴えた。会社に行くと吐き気がし、パソコンを開けても文字が目に入ってこない。つらくてつらくて仕方がないと言う。
Mさんとは10年来、かかりつけ医としてお付き合いしてきた。だから一緒に悔しくなった。Mさんは地方の出身で、都内の有名私立大学を卒業後、約30年間、大手金融系の会社にお勤めだ。すでにマンションも購入し、立派に一人で身を立てている。女性が勤め続けるにはハードルが高かった世代だ。人一倍必死に働き、資格試験も受け、頑張ってきた。Mさんのこれまでの努力は手に取るようにわかる。
「子育てママ社員」には弱い男性上司
今は、会社に子育て中の女性たちが増えている。Mさんの同僚にも、乳幼児を2人育てている女性がいる。彼女たちは自称“勝ち組”だそうで、残業は一切しないが、宴会には参加するらしい。仕事中はスマホいじりが長く、仕事に情熱は一切ないという。
男性の上司は「子育てママ社員」に 滅法 弱く、何も言えない。そのツケの多くが、Mさんに回ってくる。Mさんの体調不良の原因の一つは、彼女たちの態度とそれをかばう上司の態度にあるようだった。お断りしておくが、あくまでもMさんの同僚の話であって、子育て中の女性社員がみな、そうだと言っているわけではない。
仕事と自分の距離のとり方を
症状改善のためには、「苦手な相手とは、一定の距離をとる」という方法もあるが、仕事上、どうしても関わらなければならない。となると、仕事に自分の時間の大半を費やしてきたMさんには、いったん休息してもらうことが必要と感じた。
まずは、内臓の異常がないか、人間ドックや甲状腺機能検査などを受けてもらった。体の部品をチェックし、安心することができた。メンタルクリニックも受診してもらい、専門的な診察をお願いした。私は「伴走医者」としてMさんを支えていくことになった。
Mさんは、いったん職場から離れ、休みをとった。体と心を癒やし、少し元気になったところで、改めて仕事と自分の距離のとり方を考えることにした。
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現在は例外的に新型コロナウイルスが社会をストップさせていますが、現実には社会の変化の中で、個々の価値観が変わりゆく中での事象でしょう。 終身雇用...
現在は例外的に新型コロナウイルスが社会をストップさせていますが、現実には社会の変化の中で、個々の価値観が変わりゆく中での事象でしょう。
終身雇用崩壊後の世代からすれば、仕事は仕事であって、情熱とか私生活は必ずしも関係ないと思いますが、昭和の上司は職場に時間をかければかけるほど、アピール上手なほど結果が出た社会で育っているので、板挟みの人間にストレスが集中します。
仕事中のスマホとか遊びに関しても、社会の縦割りや横割りがITにより破壊されている中で、評価は職種や職場次第だと思います。
遊びと仕事の境界も難しい現代です。
コミュニケーションの手段や学習という場合もあるでしょう。
そもそも、職場で、いわゆる職場に関する業務だけが仕事とは限らないし、専門職であれば専門内外の勉強は残業の側面もあり、個々人にとって特定の職場だけでなく長いキャリアでの生き残りをかけた選択です。
一方で、ルールの順守も大事ですし、数字に出ない間接的な仕事への理解も少ない職場や上司であればいずれその職場や会社自体の運営にも影響が出るでしょう。
単独で目に見える仕事のできる人ばかり集めてもチームでうまく行くとは限りません。まさに、組織作りとカラーの問題です。
また、今ストレスが少ない状況に甘えるのを勝ち組と感じる人間が、家庭も仕事もうまく行き続けるとは思いません。
今後の社会情勢でどうなるかわからない雇用に関して、保険費用を払っているようなものです。
そういう理解も真面目な人の心の助けになるでしょう
希望的観測が混じっているかもしれませんが、努力や能力は必ず誰かが見ているものですし、突き詰めると大事なのは世間一般の価値観だけではなく、個々の生活の維持や幸福感ではないかと思います。
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Mさん えらい
Kyoko
シングルでガンバってる女子社員の方に、感謝しなきゃと思いました。勝ち組的態度なんて失礼ですよね。自分も気をつけます!
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