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子どもにも「片頭痛」…吐き気・嘔吐伴いやすい

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 強い痛みの発作を繰り返す「片頭痛」は、子どもにも起こることは、あまり知られていない。痛みで身動きもままならず、登校できない場合もある。毎日の生活で困っている子どもが少なからずいることが分かってきた。(影本菜穂子)

子どもにも「片頭痛」…吐き気・嘔吐伴いやすい

  学校に薬持参

 埼玉県の中学2年女子生徒(14)の頭痛が始まったのは9歳の時。吐き気も伴い、寝込む。発作の間は、電灯をまぶしがり、食事のにおいで、痛みが悪化した。

 近所の小児科でもらった痛み止めは効かなかった。埼玉精神神経センター(さいたま市)頭痛外来を受診、片頭痛と診断された。

 学校には、片頭痛の発作に効果がある薬(トリプタン製剤)を持参する。痛み始めたらすぐに飲むことで、悪化を防げている。

 予防のため、睡眠をしっかりとるようになった。母親(39)は、「部活の先生にも病状を説明して、発作が起きたら休ませるように協力してもらっている」と話す。毎週のようにあった発作は、月1回以下に減った。

 子どもは頭痛でどのぐらい困っているのか。同センターでは、2018年12月、さいたま市内の小学4年~中学3年に、アンケートを行った。回答した計約6700人のうち、約1割が「頭痛で学校を休んだことがある」と答えた。

 発作が続く時間や、痛みのタイプなどについての回答から、片頭痛を持つと考えられたのは小学生12%、中学生19%に上った。同センター長の丸木雄一さんは、「思った以上に、深刻な状態にある子どもがいることが分かった」と話す。

 片頭痛は、強い痛みが週1~月1回の頻度で、1回あたり数時間から3日間ほど続く。寝不足や天候の変化、特定の飲み物を口にするなど何らかのきっかけで、脳の血管が広がったり、脳の中に痛みを招く物質が出たりすると考えられる。

 発作中は脳が敏感になっており、普段は気にならない光や音の刺激、階段の昇降などの動作で悪化する。

 東京医大(東京都新宿区)小児科・思春期科准教授の山中岳さんによると、子どもの片頭痛は、頭の両側や前頭部が痛むケースが目立ち、吐き気や 嘔吐おうと を伴いやすい。多くは4時間以内に自然と治まる。

 大人は、脈拍に合わせた「ズキズキ」とした痛みが特徴だが、子どもは、そう感じないこともある。

  生活リズム整える

 検査では診断できず、症状が頼りになる。周りが、子どもの訴えをよく聞き、頭痛がある時の様子を注意深くみておくことが大切だ。

 発作が起きた時に使う薬は、鎮痛薬や、脳の興奮を抑えるトリプタン製剤がある。早めに服用し、暗くて静かな場所で安静にする。学校では、無理に帰宅せず、保健室で1~2時間休むと軽くなる。

 予防はまず、生活リズムを整えることが大切だ。痛みの強さや時間などを記録する「頭痛ダイアリー」も役立つ。発作の特徴や、治療の効果を把握できる。

 代表的な頭痛には、肩こりなどが招く「緊張型頭痛」もある。片頭痛と両方を持つ子どももいる。まれに、脳腫瘍などの病気が隠れている場合もある。山中さんは、「普段の生活に支障が出ている場合や、『いつもと違う頭痛』と感じたら、迷わずに小児科を受診してほしい」と話している。

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