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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

「トイレでいきんだら左目がブチッ。視野が」…様々な不調につながる「かくれ便秘」を軽く見ないで

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 「最近、吹き出物に悩んでいる」と訪れたSさん。20代後半で、毎日、会社からの帰りが遅いという。最近は、働き方改革により、以前ほどではなくなったそうだが、「仕事量は減っていないのに、『早く帰れ』と言われても大変ですよね」と世間話をする。

 左鼻の先と右のこめかみに赤く炎症を起こした吹き出物があった。今できているものは、何とか治りかけてきたが、同じ部分に繰り返しできるのがとても嫌だと言う。

顔の同じ場所に吹き出物 排便は週2回…

 他人には気にならなくても、自分にはとても気になるのが顔の吹き出物だ。皮脂の分泌や毛穴の詰まりを改善する塗り薬と抗生物質の塗り薬を使ってもらうことにした。睡眠をしっかり取り、バランスの取れた食事をして、「便秘にならないようにすることも大切」と伝えた。

 するとSさんは、「どちらかと言えば少し便秘気味だ」と話した。排便回数を聞くと週に2回くらい、それも週末しか排便がないという。「苦しくないから大丈夫」と思っていたらしい。

 便秘症とは「本来体外に排出すべき (ふん) 便を十分量かつ快適に排出できない状態」である。2017年に便秘を診断して治療するためのガイドラインが出され、そう定義された。数値で示すのはなかなか難しい病気である。病気というイメージではないかもしれないが、食(体に入れる)と排便(体から出す)は、体を元気に維持するためにとても大切なことである。

 排便回数は本人が快適ならあまり気にしなくてもいいと考える人が多い。かく言う私も、若い頃はそうであった。つらくなった時だけ、「センナ」などの腸を動かす下剤を内服していた時期もある。しかし、今はガイドライン通り、便を軟らかくする薬をメインに内服している。家のゴミと同様、ためていいわけがない。

排便習慣を整えることが美肌への道!

 Sさんに「もう少し排便をスムーズにしたほうがいい」とアドバイスすると、「ヨーグルトや野菜、発酵食品、水分をしっかり取った時は調子がいいです」と答えた。いつもそうあってほしい。でも、毎日、理想的な生活を送れる人ばかりではない。できる限り食生活を整え、それが無理なときは、便を軟らかくする下剤を内服してほしい。

 お肌のサプリは抵抗なく買っているのに、下剤となると抵抗がある様子のSさんには、「排便習慣を整えることが美肌への道!」(こう言うと、女性に受け入れてもらいやすい)と強調し、一番シンプルな酸化マグネシウムを処方した。

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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