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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

医療・健康・介護のコラム

ライターの本領発揮!「要介護の親と幼子、自身はパニック障害」書類で訴え…特養入所大作戦(1)

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結局、どれくらい待つの?

 その数字にクラクラしながら、手紙をくれた施設に電話をかけて「189番って、どれぐらい先になるのですか?」と、尋ねました。すると「他の施設を併願されていて、そちらに先に入られる方、または申し込み後に入院したり亡くなってしまう方もいるので、だいたい半分~3分の1ぐらいの人数と考えていただければ」との返答です。

 「189番だろうか、半分だとして95番だろうが、あとどのぐらい待つのかを知りたいんだってば」と心の中でクレーマーモードになっているのを抑えつつ、「だいたいの目安でいいので……いつ頃になりますか?」と食い下がってみたものの、「それはわかりかねますが、かなり先ですね」と、明確な回答は得られず。「はぁ~」と大きくため息をついて、「ありがとうございました」と電話を切りました。

ケアマネの助言で全施設に電話

 ケアマネジャーにこの話をすると、「ほかの施設にも、順位を聞いてみては?」と、勧められました。「わざわざこちらから電話をして問い合わせれば、『すごく困っている』ことが伝わるでしょう。同じような持ち点の人が複数いた場合、最後は施設の人が順位を決めるので、そのときに心が動くかも」というのです。

 そのアドバイスに納得し、残りの四つの施設に電話をすると……。いずれも最初の施設よりは上位だったけれど、トップでも81番でした。実質は半分だとしても40番……。アピールのつもりで勇んで電話をかけたら、予想を超える厳しい現実に、返り討ちに遭ったような感じです。

「一人暮らし」や「老々介護」が高得点

  最後の施設への電話中に「いったい、どういう人が上位なんだろう……」という心の声が漏れてしまいました。すると電話口のスタッフが「生活保護の方や身寄りのない一人暮らしの方、諸事情で、今いる施設を出なくてはならなくなった方、老老介護(介護する家族も高齢者)の方などですかね」と、すまなさそうに言っていました。

 父さんが一時入所していた老人保健施設から、「今後のことを考えましょう(翻訳すると、『そろそろ退所してもらわねばならないので、次の行き先を見つけてください』)」という連絡があったのは、この頃です。ひとまずショートステイを利用して急場をしのぎましたが、こんな綱渡りの生活は、父さんも私たち家族もほとんど限界です。

 「頭を抱えていても、状況は変わらない」。私は意を決して、あるところに駆け込んだのです。いったい、どこへ!? 続きは次回!(岡崎杏里 ライター)

登場人物の紹介は こちら

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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