心のアンチエイジング~米寿になって思うこと 塩谷信幸
医療・健康・介護のコラム
「弱きもの、汝の名は?」……フレイル?
都心にある虎の門病院は、日本を代表する病院のひとつですが、大内尉義(やすよし)院長は、大学の後輩で旧知の間柄なので、新年のごあいさつと、昨年開院した新病院の見学に訪れました。大内院長は日本の老年医学のリーダーの一人で、2017年には学会として、「高齢者の定義を65歳ではなく75歳に」という問題提起をしました。また、病院長としては15年に高齢者総合診療部を開設しています。複数の病気を持っていることが多い高齢者は、臓器別の診療では不十分という考えからです。新病院の開設で、各診療科も高齢社会に向けて刷新されたそうです。
フレイルは病気と健康の間
確かに、21世紀に入ってからの人類の平均寿命の伸びは素晴らしく、これまでの老人に対する考えは全てにおいて改める必要があるでしょう。大内院長ら老年医学の専門家は14年に、高齢者の健康について、新しい考えを打ち出しました。「フレイル」という捉え方です。訳せば「 脆弱 」でしょうか? 聞いたことがある方も多いと思います。
高齢に伴う身体機能の衰えは、「老化」と呼ばれている自然現象ですが、これが進行すると、やがては老人病を発症します。では、自然の老化と老人病はどこで線引きをするのでしょうか? 大内院長にお伺いました。「線引きは難しいですね。機能が衰えて日常生活に支障をきたすようになったら老人病と呼ぶことにしています」というお答えでした。なんとも曖昧ですね。
病気と健康の間にはっきりした境目があるわけではなく、白から黒へと徐々に状態は変化するわけです。そのグレーの段階がフレイルと考えれば良いでしょう。大事なことはいったん老人病が発症してしまうと、なかなか元には戻せないが、フレイルの段階なら生活習慣を改めるなどして、健康な老化に戻せるということです。人によっては病気以前、「未病」と呼ぶ方もあるようです。
対処の方法は、ライフスタイルの改善
この時点ではまだ病気ではないので、対処の方法は治療ではなくライフスタイルの改善にあります。やはり基本はバランスのとれた食事と適度な運動、そして良質な睡眠ということになります。そのほか腹式呼吸を軸にした呼吸法、また必要に応じてサプリメントの摂取。すなわち、アンチエイジングの心得でもあり、いわゆる「健康法」でもあります。
余談になりますが、我々昭和一ケタ世代はフレイルという言葉を聞いたとき、ハムレットが母親に投げつけた小気味好いセリフを思い出します。
「弱きもの、 汝 の名は女なり!」(Frailty. Thy name is woman!)
今は違います。女性の平均寿命が男性より10歳上なのは、統計的にも世界中の文明国で明らかな傾向です。確かに、社会的活動でも女性の方が生きがいい。僕が8年間主催している「アンチエイジング塩谷塾」でも、150人の卒業生のうち、男性は数人しかおりません。“弱きもの、汝の名は男なり!”といわれぬよう男性諸君もアンチエイジングに励んでください。(塩谷信幸 アンチエイジングネットワーク理事長)
昨年までは出来ていたことが
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年賀状の季節、準備に取りかかったが、なんと出来なくなっている。画像の取り込みに至ってあすっかり忘れたしまった。 それ以上に困るのは、老化現象が激...
年賀状の季節、準備に取りかかったが、なんと出来なくなっている。画像の取り込みに至ってあすっかり忘れたしまった。
それ以上に困るのは、老化現象が激しい。あるテストを見て、当てはまるもの探してみた。
1.家の中でつまずいたり、滑ったりすることがある。
2.片足で立って、靴下がはけない。
3.階段を上るのに、手すりが必要。
4.10分ぐらい続けて歩けない。
5.横断歩道を渡りきれない。
6.布団の上げ下ろしや、掃除機の使用困難。
7.2キログラムの買い物をして、持ち帰るのが困難。
2番の行為は相当前から出来なくなっている。3番の手すりは、あると安心して捕まる。ここにはないが、靴べらを使うとき、必ず手すりにつかまる。
86歳にして、これはすでに脆弱状態だろうか。気持ちだけは、老いてはいないつもりだが・・・。
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フレイルもロコモも要するに心身のトレーニングに導くためのキーワードで、整形外科的な問題が内臓にも伝播するということをどういう風に伝えるか上層部は...
フレイルもロコモも要するに心身のトレーニングに導くためのキーワードで、整形外科的な問題が内臓にも伝播するということをどういう風に伝えるか上層部は腐心しているわけです。
基本的に男の方が弱いのは心身の表面上は女性の方が繊細でも、根っこの部分ではタフに作られているからではないでしょうか?
現在の社会的な流れはともかく、出産育児機能はベースは女性のものです。
また、生活形成は女性に任せられていたわけで、自分にやりやすい方式をみずから採用可能です。
そういう与件はどうしようもないですし、受け容れるべきは受け容れ、抗うべきは抗うという当たり前のことですが、一度辞めてしまうと毎日5分の筋トレすら続かないのが人間の弱さで、仕組み作りが大事になります。
あれもこれも、良い所ばかり取ろうとすると、なかなかうまく行かないわけで、一つ一つ取り入れるか、全体のバランスを見て一気に変えるか、人それぞれですね。
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