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[仮面女子 猪狩ともかさん](上)車いすでも史上最強 「待っていてくれる人がいたから」
人気地下アイドルグループ「仮面女子」のメンバーで、2年前に事故で下半身不随になり、車いすで活動を続ける猪狩ともかさん。障害を抱えながらも笑顔を絶やさず、前向きな姿勢は、逆に多くの人を励ましています。アイドル活動を続けられた理由や、車いす生活になって感じていることなどを聞きました。(聞き手・藤田勝、撮影・中山博敬)
遅咲きのアイドル これからという時に……
――仮面女子は、どうして「史上最強の地下アイドル」と呼ばれるんですか。
仮面をかぶったり、武器を持ったり、ほかのアイドルがやっていないようなパフォーマンスをしています。ホッケーの仮面は、個性を消して団体として見せる道具です。
――メンバーになって、仮面女子の魅力はどんなところだと感じていますか。
メジャーなアイドルさんだと、ライブが終わればお客さんは帰るだけですが、地下アイドルは握手をしたり、一緒に写真を撮ったりできます。その距離の近さが、みなさんが来てくれる理由だと思います。演じる側にとっても、その日の感謝を直接言えたり、お話ししたりできることは魅力的なことです。
――子どものころからアイドル志望でしたか。
モーニング娘。にあこがれていましたが、行動に移したのは遅かったですね。管理栄養士の専門学校に4年間通い、就職活動中に迷って、結局、アイドルの道を選びました。事務所に入ったのは2014年春でしたが、最初は研究生で、正規のメンバーになったのは17年です。本当に人それぞれで、ポンポンとすぐに上がれる子もいれば、私のように下積みが長い人もいます。
――メンバーの中では年長の方ですね。
年齢は、メンバー24人(7日現在)中、上から2番目ぐらいですね。仮面女子の中でもユニットが分かれていて、私はスチームガールズ。以前はリーダーをやっていましたが、けがをした後、交代しました。
数か月で治ると思っていた
――18年4月、活動拠点の秋葉原に向かって歩いていたとき、歩道脇の看板が強風で倒れて下敷きになりました。看板が倒れてくるのは見えましたか。
視界の隅に何となく、降ってくるのが見えましたね。でも、一瞬だったので、気づいたら下敷きになっていました。その時は、痛いというより、苦しいっていう感じでした。
――意識はずっとあったそうですね。
私の中では、大きな事故では、その瞬間に意識が飛んで、気づいたら病院というドラマのようなイメージがありました。だから、いつ意識がなくなるんだろう、苦しいから早く意識がなくなってほしいと思っていましたが、ずっと意識がありましたね。
――脊髄損傷で両下肢 麻痺 ということですが、直後はそこまで重傷とは思わなかったそうですね。
数か月したら治ると思っていました。
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