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医療・健康・介護のニュース・解説

外国人患者が困惑する意味不明の英語…病院の表示にも「おもてなし」の心を

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宮坂勝之 聖路加国際大学名誉教授

 医療者であれば、相手に配慮した表現を心がけるべきである。日本語を理解できない外国人に対する病院など公共施設の表示(サイン)であれば、なおさらだ。

 街中を歩けば、特別な意味もなく、デザインとして英単語が並べられたTシャツがあふれている。大手企業や団体のあやしげなカタカナ英語の広告も日常的であり、今や日本人にとって英語(アルファベット)は、意味を伝える手段というより、ただのファッションに近い。「日本人は臆せず英語を話すべきだ」という歓迎すべき潮流に乗ったものかもしれないが、動作や語調などで補完できる「話す英語」と、「表示する英語」を同一には論じられない。この英語表示の軽視が、大きな誤解の源になる場面はしばしば経験する。

手術室の入り口に…

 新国立競技場で掲げられたある表示が、英語を母国語とする人々に不評だったと聞く。「HELLO, OUR STADIUM」だが、主語が曖昧な日本語では、「こんにちは、私たちのスタジアム」として、競技場から自分へ、親しみを込めた歓迎の 挨拶(あいさつ) だと理解し、違和感を持たない人も多いだろう。建物の擬人化はともかく、公共施設を訪れる人に対する Hello Welcome の違いや Our の持つ機微は、日本人にはわかりにくい。しかし、正しい正しくないの話ではない。英語表示は外国人に向けたものであり、受け手がどう解釈するかをまず考えるべきだ。

 気になって、以前、勤務したことのある都内の公立医療センターを訪れた。手術室の入り口に ”As for the person on return operation the inside please begin” という意味不明の英語サインが掲げられている。併記された日本語の「日帰り手術の方は、中へお入りください」で事が足りる私たちは気にしないが、英語としてはめちゃくちゃで、外国人がこの表示で戸惑うこと間違いなしだ。10年以上は掲げられてきたこの英語表示の存在意義は何なのだろう。

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