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医療・健康・介護のコラム

「健口」で健康(7)歯医者任せにせず 生活改善を

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 このシリーズでは、予防歯科学が専門の大阪大歯学部教授、天野敦雄さんに聞きます。(聞き手・佐々木栄)

「健口」で健康(7)歯医者任せにせず 生活改善を

 「糖尿病の改善に有効な可能性があり、糖尿病患者に歯周病治療を推奨する」

 日本糖尿病学会が昨年、診療指針にこう明記しました。推奨度は最高ランクのA。「健口」で健康が戻ってくる、というわけです。

 歯周病が関連するとみられる病気は、心筋 梗塞こうそく や動脈硬化、関節リウマチ、アルツハイマー型認知症など100種類以上にも上ります。ですが、今のところ歯周病治療の効果がはっきりしているのは、診療指針に明記された糖尿病だけ。他の病気への効果については、世界中で検証が進んでいます。

 ある日のことです。50歳代男性が訪れ、「高血圧に糖尿病で、最近、歯が何本も抜けた。もう抜けないようにして」と訴えました。

 聞けば、たばこを吸っているとのこと。「歯周病は生活習慣病と関連しています。おまけに喫煙は体に毒だから歯が抜けたんですよ」と指摘したところ、「知ってる。ここで治療をするといろんな病気がよくなるって聞いて来た」と。どうやら、歯周病治療を受けるだけで、あらゆる不調が改善すると思っている様子でした。

 歯医者任せの治療だけでは歯周病も他の病気も治らないこと、歯磨きから生活習慣の改善まで、すべての病気の対策を始めないとどうにもならないことを説明しました。それでも「ちょっとは効くやろ?」と引き下がってくれず、苦笑いするばかりでした。

 生活習慣病は、患者さん自身が病気をよく理解し、責任をもって対処しなければ改善は望めません。当然、口を開けて診察台に横になるだけでは、歯周病も他の病気もよくなるはずはないのです。

【略歴】
 天野 敦雄(あまの あつお)
 大阪大学歯学部教授。高知市出身。1984年、大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学歯学部博士研究員、大阪大学歯学部付属病院講師などを経て、2000年、同大学教授。15年から今年3月まで歯学部長を務めた。専門は予防歯科学。市民向けの講演や執筆も多く、軽妙な語り口・文体が好評を得ている。

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