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宋美玄のわーままクリニック

医療・健康・介護のコラム

小泉大臣の「育休」を批判する人へ

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イライラや試行錯誤を共有する相手が必要

 政治家や公務員に限らず、「自分がいなくても回る仕組み」を作るのが、本当に有能なリーダーです。「お金のある人は家事・育児をアウトソーシングすべき」との意見も一理あるとは思いますが、育児が始まったばかりの時期に夫婦で同じ生活をし、赤ちゃんのいる喜びも、まとまった時間、眠れないつらさも、両手が空かない不便さも一緒に味わう意味はとても大きいと、私は思います。

 私は、ワンオペで育児をする時間も多いのですが、一人で家事・育児のタスクをこなす身体的な負担よりも、イライラしたり、試行錯誤したり、そういった感情や思考過程を共有する相手がその場にいないことを、一番つらく感じます。まずは、夫婦が同じ経験をしてタスクと感情をシェアすれば、まさに喜びは2倍に、苦しみは半分になると思います。育休が終わり、父親が先に元の生活に戻った後も、母親と赤ちゃんがどういう毎日を送っているか想像がつくのは大切なことです。「育休って、毎日赤ちゃんと遊んでるだけだろ」と、母親の日々の生活を甘く見る父親は激減するでしょう。

男性育休のハードルが下がれば

 男性育休に批判的な意見の中には、「夫が休みを取っても、家でゴロゴロするだけで役に立たず、世話する“子供”が増えるだけ。育休は迷惑です」という女性の声も多くあります。こういうのを「取るだけ育休」と言うそうです。

 確かに、それでは意味がないどころか、マイナスになるでしょう。しかし、そういう「取るだけ育休夫」がいるからと言って、男性が育休を取ること自体を批判し、「未来の父親」が「育児インターン」を体験する機会を奪ったり、未来の家族の幸せの可能性を狭めたりするのは控えていただきたい。

 奥さんが妊娠中だという男性とお話をする機会も多々あるのですが、父親になる人の中には、「育児が大変そうだから、なるべく理由を設けて、妻の役割にしておきたい」「自分は生活を変えず、好きに働きたい」と考えている人も結構いるようです。しかし、育児を分かち合えば、きっと喜びの方が大きいはず。これから父親になる人には、ぜひ、期間の長短を問わず、育休を取得してほしいです(もちろん育休明けも人間的な働き方をし、家事・育児に参画し続けてほしいです)。「大臣も取っているんだから」と、少しでも男性育休のハードルが下がれば、小泉大臣にとっては、政治家として大きな功績にもなると思います。(宋美玄 産婦人科医)

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。
1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくは こちら

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小泉大臣の育休取得宣言に、エールを送った者です。 世間では、大臣の育休宣言に対し、多くの批判の声が溢れました。 私は、育児は母親の義務と思い込ん...

小泉大臣の育休取得宣言に、エールを送った者です。
世間では、大臣の育休宣言に対し、多くの批判の声が溢れました。
私は、育児は母親の義務と思い込んでいた為、殆ど任せっきりでした。
孫も大学生に成り、幸せな人生と思っていたのですが、 妻の苦労話を聞いて、深く反省しております。
こんな経験から、大臣が「良き先例」「良きお手本」となるべきと思い、
世間の批判にめげる事無く、育休を取る事が日本の環境改善に繋がるので、
是非育休を取得して下さいと 応援のメッセージを送りました。
大臣も育休を取られて、大変良い経験を為されたのでは無いでしょうか?
これを機会に、男性の育休が当たり前の日本 に 成長してくれる先鞭となる事を祈っております。
男性育休が話題にならない日本が、一日でも早く来ますように!!!

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取るだけ育休は悪だが最悪ではない理由

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適性もものの考え方も色々色ですが、取るだけ育休への非難は育休の取得が前提ですので意外と進歩だと思います。 積極的にサポートしない旦那へのイライラ...

適性もものの考え方も色々色ですが、取るだけ育休への非難は育休の取得が前提ですので意外と進歩だと思います。
積極的にサポートしない旦那へのイライラは彼がいなければ子供に向かっていたかもしれません。
また、本当に子供の相手が向かない人もいますし、理想論に固執するよりも、育休を理由に有給も含めて消化できて、仕事と家庭がある程度うまく行く方が本当の意味でいいような気もします。

どんな問題もそうですが、一つの問題よりも関連する複数の問題の構造を考えてやる必要があります。
一番の問題は時間や心のゆとりの欠如です。

関連して、女医の出産育児の問題には、旦那や家族および地域のサポートの問題があって、そのおおもとに職場や地域の理解や共感の問題があります。
そして、それが、原始的長時間労働礼賛の発想と相まって、労働システムの前向きな変更ではなく入試不正問題に繋がりました。

人間は他人の幸運や欠点を必ずしも尊重しない傾向にありますが、それは返ってくるものではないかと思います。
前向きに反論を書くよりも、黙ってニコニコしている方が人には好かれますけどね。
個々の日々のゴールは目に見える所の欲求ですが、最終的なゴールはそれだけではないのでなかなかに難しいのではないかと思います。

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