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のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

良い薬局を見極めるための四つのポイント

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相談しづらい雰囲気が……

 カフェの窓から見える真っ赤な夕焼けは、明日の晴れを予感させてくれる。この時刻ののぶさんのカフェは、どこかのんびりしている。私は、もう1時間以上、カウンター席にいて話をしている。

 さっきから、「行きつけの薬局の薬剤師と普段から付き合いを持ち、病院も紹介してもらうとよい」という話で盛り上がっている。

 「のぶさん、そもそも、薬局ってどう選んだらいいんですかね? 相談に乗ってくれそうな薬局って、あまり思い浮かばないんですよ」。理想はわかるが、私がよく利用している薬局では相談しづらい雰囲気があり、率直に尋ねてみた。

 「私は、患者の立場でもわかる薬局の見分け方として、四つのポイントを見ているんです」と、カップを洗いながらのぶさんは教えてくれた。

自前のウェブサイトは、もはや常識?

(1)ウェブサイトがあること  薬局も時流に乗ることは大切だ。患者からメールやSNSで相談が来る時代に、最低限の情報発信ツールとして、薬局のウェブサイトを持っていることは大切だという。

(2)スタッフの年齢が多世代にわたっていること  薬剤師も世代の違いによって得意とする分野は異なるもの。新しい仕組みを取り入れたり、情報交換が円滑にされたりするには、同じ組織の中に多世代がいるとよいということらしい。

(3)季節に合わせた情報が提供されていること  薬局の店内には、様々なポスター類が貼られている。母が通う薬局では、毎月メールで情報が送られてくるという。今の季節だと、インフルエンザや花粉症に関する対処法などが多いかもしれない。季節の変化に敏感に対応できている表れということのようだ。

(4)処方薬以外の品物がそろっていること  処方箋なしで買える一般用医薬品はもちろんだが、その薬局らしさを感じる品物が陳列されていると、どんな薬局を目指しているかのコンセプトがわかるという。これからの時代の薬局のアピールとして、経営者に必要な発想なんだそうだ。

 確かに、薬局を判断するのに、この四つをチェックするならば、自分でもできそうだ。

患者を待っているだけの薬局は時代遅れ

 実際に、私が利用したことのある薬局をスマートフォンで検索してみた。その店の求人情報や薬局を検索するサイトなどはヒットしたが、薬局独自で作っているウェブサイトは見つからなかった。確かに、今の時代にウェブサイトがないというのは、問い合わせをするのにも電話しかないと考えると不安になる。

 「これらは絶対に必要なことではないかもしれないけど、お客さんのことを親身に考えているのであれば、当たり前に対応しているはずだと思うんですよね」 

 のぶさんは、薬局側に対してさらに厳しい言葉を重ねる。

 「薬局が、処方箋を持ってくる患者さんを、ただ待っていさえすればいい時代は終わっています。薬局側には、そもそも何をアピールしたいかを患者側に明らかにして、それにマッチしたお客さんが集まる場にすることが求められますよね」

薬局のコンセプトが伝えられているか

 そういえば、カフェも同じだ。このカフェと相性のいい私のような人間もいれば、このアットホーム感をかえって苦手とする方もいるだろう。どういうお客さんを求めているかは、店が打ち出すものなのだろう。

 私の勤める会社でも、朝礼のたびに経営理念やコンセプトを唱和する。上司との面談では、会社の年度計画と各自の業務目標との整合性などを求められる。薬局を選ぶ際にも、そういったことがきちんとできている薬局が良いということなのだろう。

 さぁ、そろそろ帰宅しなければならない時刻になった。

 「いつも本当にありがとうございます」

 ちょうど忙しくないタイミングだったこともあり、足の不自由なのぶさんが、店の出口までわざわざ見送りに出てきてくれ、頭を深く下げてくれた。常連客として大切にされている気がする。

 そういえば、「私が利用している薬局では、こういう対応をされたことはないな」と、ふと思った。

(鈴木信行 患医ねっと代表)

良い薬局を見極めるための四つのポイント

「客に選ばれる薬局づくり」(薬事日報社)を出版しました。

 下町と言われる街の裏路地に、昭和と令和がうまく調和した落ち着く小さなカフェ。そこは、コーヒーを片手に、 身体(からだ) を自分でメンテナンスする工夫やアイデアが得られる空間らしい。カフェの近所の会社に勤める49歳男性の私は、仕事の合間に立ち寄っては、オーナーの話に耳を傾けるのが、楽しみの一つになっている。

(※ このカフェは架空のものです)

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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