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日照時間短い冬のうつ病…人工光浴びて症状改善

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 うつ病患者の中には、日照時間が短い冬などに、気分が落ち込んだり日中に強い眠気が出たりする人がいる。「冬季うつ病」(季節性感情障害)と呼ばれ、強い人工光を浴びる治療を行うと、症状の改善が期待できる。(原隆也)

日照時間短い冬のうつ病…人工光浴びて症状改善

 日光を浴びる機会が少ないと、「セロトニン」という神経伝達物質が減る。この物質には、気分を落ち着かせる働きがある。冬季うつ病の患者は、光を浴びる量に敏感で、症状が表れやすいという。

 患者は、糖分を必要以上に欲するようになるのも特徴だ。糖分が、セロトニンを増やすことに関わっているためだ。

 患者は、冬の日照時間が短い地域に比較的多くみられる。そのほか、日照時間が少なくなる梅雨時や、外出する機会が少ない生活を送ると、発症する場合がある。国内の医療機関を対象に行った研究では、成人のうち、冬季うつ病が疑われる人は約2%だと報告されている。

  起床時の30分間

 主な治療法として行われているのが、患者に強い人工光を浴びてもらう「光療法」だ。一般的な居室の照明の20~50倍明るい光を出すスタンド式の装置を使い、朝起きてから30分ほど光を浴びる。1分間に5~10秒ずつ、光源を見つめる。網膜の光を感じ取る細胞が刺激され、脳に伝わると、生活リズムが整う。セロトニンの生成も増えると考えられている。

 長年、うつ症状に悩む女性(58)は、冬になると頻繁に体調を崩していた。光療法を受けると症状は改善し、休んでいた仕事にも復帰できた。女性は「光を浴びると気持ちにスイッチが入ります」と話す。

 海外のある研究では、この治療を受けた冬季うつ病患者の約6割に改善効果がみられた。薬による治療と同等の効果があると報告されている。

 一部の患者の中には、強い光を見ることで頭痛や吐き気を訴える人もいる。また、双極性障害(そううつ病)の場合は、そう状態になることがある。光の浴び過ぎには注意が必要だ。

  不眠にも効果か

 光療法は、冬季うつ病以外のうつ病患者の治療法としても有効とされている。海外で行われた複数の研究では、不眠などの改善がみられた。日本うつ病学会のうつ病の治療指針では、薬を使った治療と組み合わせることで効果が高まるとしている。

 光療法は、公的医療保険の対象ではないが、装置は数千円から数万円で購入できる。貸し出しを行う医療機関もある。

 セロトニンを増やすには、生成に関わる「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸の摂取も欠かせない。

 この物質は、食物でしか取ることができない。タラコなどの魚卵やチーズ、ヨーグルト、バナナ、ナッツ類といった食材に豊富に含まれている。魚や肉、乳製品などは、バランス良く食べることが大切だ。

 冬季うつ病に詳しい秋田大学精神科教授の三島和夫さんは「一般的なうつ病と異なり、食欲があるなどのため、病気に気づいていない人も多い。冬に不調になる人は、冬季うつ病の可能性があり、医療機関を受診し、適切な対策を取ってほしい」と話している。

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